1947年から1972年までに、シクロペンタンなどの飽和5員環では、得られる全 ての立体構造の構造デ-タに対して、その結果である二面角デ-タを座標変換し プロットすることでコンピュ-タの画面上に円周が現れることが知られている。 また1975年前後には、シクロヘキサンなどの飽和6員環の立体構造では球面が 現れることが分かっている。 そこで一般にn-員環の環状分子の数理モデルを考え,その配置空間のtopology を調べることが考えられる。 S. GotoとK. Komatsuは環状分子の標準的なbond angleにおいて,n=5, 6, 7の 場合の配置空間は(n-4)次元球面に同相であることを示した。 今回私達はその方法を拡張することで,ある範囲内にあるbond angleの配置空 間は(n-4)次元球面に同相になることを示した。 特にn=5, 6, 7のときは上記の結果の拡張になっている。 また最近ではM. FarberやN. Iwaseらにより,配置空間に対するtopological complexityというalgebraic topologyにおける不変量との関連付けもされてきている。
講演の前半では,環状化合物と配置空間の関係と具体的な配置空間の例をご紹 介し,後半ではtopological complexityからの一つの解釈を与える予定である。