ディラック作用素は,相対論的量子力学における重要な作用素である。 大まかに言って,遠方で発散する電場ポテンシャルをもつシュレーディンガー作 用素のスペクトルは離散スペクトルのみからなるが、対応するディラック作用素の スペクトルは絶対連続スペクトルのみからなり実軸全体と一致する。このように、ス ペクトルの性質は正反対と言っていいほど異なっているが、ディラック作用素の非相 対論的極限(光速->無限大)はシュレーディンガー作用素であり、何らかの関係があ りそうである。この講演では、立命館大学の山田修宣氏との共同研究を中心にこの問 題を考えていく。