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偏角を一意に決めてみる。

対数関数の計算式

\begin{displaymath}(\text{☆})\quad \log(w)=\operatorname{Log}(\vert w\vert)+i\arg(w)
\end{displaymath}

において、$w$ の「偏角」$\arg(w)$ を一意に決めずに、$2\pi$ の整数倍 の分の不定性を許していたのが $\log$ の多価性の原因であったと考えられる。

では、しばしばやるように、

\begin{displaymath}\text{$\arg(w)$ は、$0$ から $2\pi$ のあいだ(正確には、$[0,2\pi)$ の中)
にとることにする。}
\end{displaymath}

とすれば良いのではなかろうか。 確かに、このように決めてしまえば $\log(w)$ は (☆)式によって 一意に定まり、いちいち多価性に気をつけなくても済む。 前前節の 「$x^x$」のグラフにしても、分枝をいくつも書かずに 一つだけ書けば済んだのである。

偏角を $[0,2\pi)$ の中に選ぶことにすると、「境目」である偏角=0 の部分が ちょうど実軸上に来てうっとうしいと思われる向きには、偏角を $[-\pi/2,3\pi/2)$の中に選ぶなどの方法をとることも出来る。 そうすると選ぶ分枝は変わってしまうが、 分枝を一つだけ考えれば済むという点ではかわらない。



Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12