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結語

今回は、コタンジェントバンドルと、(擬)微分作用素の環が 如何にして関係付けられるか、ということについて述べ、 そのさい「可換な世界」から非可換の世界への飛躍 のための道具として使われる「代入算」についても述べた。

ところで、(擬)微分作用素至上主義になって、非可換幾何学を全て (擬)微分作用素の議論で済ますことは可能だろうか?

(通常の)多様体が全て $\mbox{${\Bbb R}$ }^n$ に埋め込まれるからといって、多様体の 理論が $\mbox{${\Bbb R}$ }^n$ に関する理論に帰着しないように、T*M の「量子化」 にあたるものの「部分非可換多様体(後述)」を扱うだけでもやはり 非可換幾何学が必要になるように、筆者には思える。

いずれにせよ、 ちょうど $\mbox{${\Bbb R}$ }^n$ 上の解析学が(通常の)多様体論で大きな役割を 演じるように、 非可換幾何学のヒナ型として、(擬)微分作用素の 理論は非常に重要な位置を占めるように思われる。



Yoshifumi Tsuchimoto
1998-12-04