暗号の規制について 日本ではどうやら盗聴法(通信傍受法というらしい)が成立するようである。 internet を使い、セキュリティー関連を意識していると、自然に暗号の 話などが耳に入ってきて、 「sshなどの良いソフトを用いることにより当局の盗聴を避けられる」 ことに気づく。(但しこれは、相手とこちらが同じ仕様のソフトを持っている ことが必要) したがって、それらの手段を駆使した、「プロ」は盗聴されず、 一般市民のみが盗聴の対象になる。 「それでは変だ」という世論が形成されそうだが、 さらに当局はその世論をうまく利用して、暗号も規制してくることになるのではないか、 と私は危惧している。 暗号を使用することを規制するのには(単純に考えて)二段階あって、 1. 暗号によって通信するのを規制する。 2. 暗号を用いるソフトそのものを禁止する。 ということになる。 暗号の使用を「立件する」ためには、1. より 2. の立場が 有効であるから、そのうち「暗号=ピストル」論が起こって、 一般人は暗号を持てなくなるに違いない。(既にフランスなどでは かなりやかましいことを言っているようだ。) 嫌な世の中になったものだ。 しかし、「法を破る」ことによる自責の念を別にすれば、 当局に検挙されずに暗号を使うのは、可能なように思われる。 1. 使用するソフトを当局に同定されないようにする。 ソフトの実行ファイルのバイナリは一種の暗号のようなものであるが、 それが違法だと言って来る恐れはおそらくないだろう。 だから、バイナリは読めなくてもいい。 「読めない」バイナリをさらに読めなくする(暗号化を含むような 圧縮ソフトを使う)のは、(バレなければ)問題ないだろう。 そのようなトリックを用いて、実行ファイルのサイズ、 MD5 sum などが 所持者によって異なるようにソフト/インストーラを設計しておく。 2. 通信の際は、「無害な」音声に(変調などのテクニックを使って) 暗号を埋め込む。 一般に、暗号とノイズを区別するにはそれを復号化するしかないはずだから、 十分強力な暗号を用いれば1,2. は実現可能で、しかもまず立件は できないものと思われる。 (それでもしょっぴかれる無茶苦茶な世の中になるほうが早いのかも知れないが。) 「無害な」音声として使うものとしては、 ついに法律で制定された「あの」歌などはいかがだろうか。 まさか当局も「あの」歌を禁止する訳にはいくまい。 かくして、電話での音声は、すべて「あの」歌のみが流れるという、 誰かさんが聞いたら泣いて喜びそうな時代が、もうすぐ来る、 のかもしれないなあ。 (上の、盗聴を避ける手立てについては、 もっといろいろバリエーションが考えられそうだが、 「程度の悪い連中とつき合うとこっちまで程度が悪くなる」 典型のような気がするので、ここで止めておくことにしよう。) Tue Aug 11 JST 1999