next up previous
Next: About this document ...

    

代数学 II 12 の解答

問題 12.1   $A=\mbox{${\Bbb R}$ }[X,Y,Z]$ から $A$ への環準同形写像 $\phi$ を

\begin{displaymath}\phi(X)=XZ,\quad \phi(Y)=(YZ),\quad \phi(Z)=Z
\end{displaymath}

で定義する。さらに、$A$ のイデアル $I$ を、

\begin{displaymath}I=(X^2+Y^2-1)
\end{displaymath}

で定義する。このとき、
1.
$V(I)$ のグラフの概形を書きなさい。
2.
$\psi=\pi\circ\phi: A \to A/I $ の核を求めなさい。 ただし $\pi:A\to A/I$ は自然な射影 ($p$ に対してそのクラス $[p]$を対応させる準同型)である。
3.
${}^a\psi$ の像の概形を書きなさい。

(答え)

(1) その形は円筒であって、円ではない。

\includegraphics[scale=0.5]{tube.ps}

(2) $\operatorname{Ker}(\psi)$ は

\begin{displaymath}\operatorname{Ker}(\psi)=\{f(X,Y,Z)\in \mbox{${\Bbb R}$}[X,Y,Z]; f(XZ,YZ,Z)\in (X^2+Y^2-1)\}
\end{displaymath}

である。問題はこれの計算であるが、 まず $f_0(X,Y,Z)=X^2+Y^2-Z^2$ が $\operatorname{Ker}(\psi)$ に入ることを確認して欲しい。 じっさい、

\begin{displaymath}f_0(XZ,YZ,Z)=(XZ)^2+(YZ)^2-Z^2=(X^2+Y^2-1)Z^2
\end{displaymath}

が成り立つからである。 したがって、 $\operatorname{Ker}(\psi)\supset (f_0)$. $\operatorname{Ker}(\psi)$ と $(f_0)$ とが実際に等しいことを示すためには、 $f_0$ による割り算を活用するのがよい。 すなわち、 $g\in \operatorname{Ker}(\psi)$ を任意にとると、 $g$ を $f_0$ で(変数 $X$ に着目して)割ることにより、 $q,r\in \mbox{${\Bbb R}$ }[X,Y,Z] $ で、

\begin{displaymath}g=f_0q+r, \quad
\end{displaymath}

をみたし、 $r$ の $X$ に関する次数は $2$ 以下、となるものが存在する。 $r$ は $X$ に関して $2$ 次以下なのだから、これを

\begin{displaymath}r(X,Y,Z)=r_1(Y,Z)X+r_0(Y,Z)
\end{displaymath}

という具合に書いてみれば、

\begin{displaymath}0=\psi(g)=\psi(r)=r_1(YZ,Z)XZ+r_0(YZ,Z)
\end{displaymath}

$X$ の係数に着目して、多項式として $r_1=0$。 同様にして、多項式として $r_0=0$を得ることができ、かくして $g=f_0q$. すなわち $g\in (f_0)$ が証明できるわけだ。

(3) 講義で何度もやったようにこれは円錐である。

\includegraphics[scale=0.5]{cone.ps}

問題 12.2   $B=\mbox{${\Bbb R}$ }[X,Y]$ から $B$ への環準同形写像 $\varphi$ を

\begin{displaymath}\varphi(X)=XY,\qquad \varphi(Y)=Y
\end{displaymath}

で定義する。さらに、$B$ のイデアル $J$ を、

\begin{displaymath}J=(Y-X^2+1)
\end{displaymath}

で定義する。このとき、
1.
問題10.1 にならって ${}^a\varphi(S)$ をグラフに書きなさい。 ただし、

\begin{displaymath}S=\{ (x,y)\in \mbox{${\Bbb R}$}^2; x \in {\mbox{${\Bbb Z}$}}\text{ or } y \in {\mbox{${\Bbb Z}$}}\}
\end{displaymath}

である。
2.
$V(J)$ のグラフの概形を書きなさい。
3.
$\rho=\pi\circ\varphi: B \to B/J $ の核を求めなさい。 ただし $\pi:B\to B/J$ は自然な射影 ($p$ に対してそのクラス $[p]$を対応させる準同型)である。
4.
${}^a\rho$ の像の概形を書きなさい。

(解答)

(1) 省略するが、「格子」の像なんだから一応それなりのものにならないと 間違いなのに気づいて欲しい。 直線の像を丹念に追い求めれば良いので簡単なはずである。

(2) これはやさしいだろう。放物線である。 $S$ と(2)を同時に書き込むと、次のようなグラフになる。

\includegraphics[scale=0.5]{parabora.ps}

(3) $T=XY,U=Y$ とおいて、 $X,Y$の関係式 $Y-X^2+1=0$ から $T,U$ の関係式を 計算し、最後に $T,U$ を $X,Y$ に置き換えればよい。 今の場合は形式的に $X=T/U,Y=U$ という具合に逆に解けるから楽である。 ただし、形式的な計算をしたあとには問題12.1の(2)の解説で述べたようなチェックを しておくべきである。

$(X^2-Y^2-Y^3)$

(4) このグラフも講義で書いたことがある。 したがって詳しい書き方は省略する。 (1)と(3)とを同時に書くと、 次のようになる。 これを先のグラフと比べると何が起こっているか分かりやすいだろう。 グラフをスダレに書いておいて、 スダレの下の辺をひっくり返す(スダレは当然ひねりが加わる)と ちょうどこのような形になる。�

\includegraphics[scale=0.5]{singular.ps}



Yoshifumi Tsuchimoto
2001-07-24