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代数学特論 II 要約 No.9

今日のテーマ:

\fbox{体の二次拡大・三次拡大}

補題 9.1   $p,q$ は複素数で、 $f=X^3+pX+q$ の判別式は $0$ でないとする。 このとき、 ${\Bbb C}[X,Y]/(Y^2-X^3-pX-q)$ の商体を $k$ とすると、 ${\Bbb C}(X),{\Bbb C}(Y)$ はともに $K$ の部分体と見ることができて、 $[K:{\Bbb C}(X)]=2$, $[K:{\Bbb C}(Y)]=3$ がなりたつ。

判別式の定義は以下に述べる。

定義 9.1  

\begin{displaymath}(X-\alpha_1)\dots(X-\alpha_n)
\end{displaymath}

$X$ について展開して得られる多項式の係数のことを $\alpha_1,\dots,\alpha_n$ の基本対称式という。

補題 9.2   $\alpha_1,\dots,\alpha_n$ の対称式であるような多項式は 必ず $\alpha_1,\dots,\alpha_n$ の基本対称式の多項式として表される。

補題 9.3   体 $K$ 上の $n$ 次多項式 $f(X)$ に対して、$f$ の根を $\alpha_1,\dots,\alpha_n$とし、

\begin{displaymath}\Delta=\prod_{i<j} (\alpha_i -\alpha_j)
\end{displaymath}

とおくと、 $D=\Delta^2$$k$ の元である。この $D$ のことを $f$ の 判別式と言う。

明らかに、$f$ の判別式が $0$ になることと $f$ が重根を持つことは同値である。

問題 9.1   $f=X^3+pX+q$ の判別式を具体的に $p,q$ の多項式で表しなさい。




2002-01-06