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代数学II 要約 No.2
今日のテーマ:
での計算は、九去法(あるいは、ナントカ占い)の名で知られている
ものの簡単な説明を与える。
例題 2.1

を

で割ったあまりを求めよ。
(解答)
つまり
であることが最大のポイントなわけだ。
同様にして、10進法で書いた数を
で割ったあまりも
簡単に求めることができる。(
)に注意)
環
に対して、その単位元を
,
と書き、
を
とかく。
,
等も同様。(この
の
は「石井浩郎」と「石井琢郎」
を区別するのに
とか
とかくのと同様で、言わなくても分かるときには省略する。)
定義 2.1 (環の標数)
ある正の整数

があって、
が成り立つとき、このような

のなかで正で最小のものを

の標数と呼ぶ。
そのような

がないときには、

の標数は

であると定義する。

の標数のことを、以下では

と書く。
例

の標数は

である。
上で、「余り」というものがでたついでに、整数同士の「余りを許した割り算」
について復習しておこう。この講義では特に断らない限りは次の意味の割り算をする。
定義 2.2

とし、

であるとする。このとき、

を

で割った商

と、余り

とは、次の関係式を満たす唯一のものとして定義される。
この定義では、
や
が負の数でも構わないということに注意しておく。
余りだけについて言えば、次のような言い換えも可能である。
割り算を用いて次の結果を証明できる
補題 2.1

のイデアルは

か、または

(

は正の整数)の形のものに限る。
前回、時間が余ったので次の補題について述べた
先週述べたこの補題の証明はもう少し一般化できる。
まず次の言葉を用意しておこう。
定義 2.3
- 1.
- 環
の元
が零因子であるとは、ある
の元
があって、
が成り立つときに言う。
- 2.
- 環
が
以外に零因子を持たないとき、
は整域であると言う。
補題 2.3
- 1.
- 元の個数が有限の環の非零因子は必ず可逆である。
- 2.
- 元の個数が有限の環
が整域ならば、
は体である。
レポート問題が複数ある場合には、一つを選んで解くこと。
保険のために二つ選んでもよい。その場合には評価はよい方のものを与える。
(和にはならない。)
問題 2.1
10進法で書いた整数

(例:

)
を13 で割った余りを求めるのは、
9や11のときほど簡単ではないが、つぎのようにできる。
- 1.
を三桁毎に区切る。(
)
- 2.
- 区切ったものをそれぞれ符号をつけて加える。
- 3.
- 加えた答えを
で割った余りを求める。
(
を
で割った余りは
)
この最後の答えが

を

で割った答えである。これはなぜか説明せよ。
問題 2.2
上と同様な考察により、
10進法で書いた整数を

で割った余りを「一定の桁数毎に区切って」
求める方法はないか?
問題 2.3
一般に、素数

に対して、
10進法で書いた整数を

で割った余りを「一定の桁数毎に区切って」
求める方法はいつでも存在するだろうか?
(但しもちろん

と

の場合は例外とする。)
2002-04-18