今日のテーマ:
この講義では体の上の1変数多項式環について考えることが多いが、
体以外の環、特に整域ではない環の上の1変数多項式環については
妙なことが起こることも覚えておいてよい。(演習問題を解く時などに役立つ。)
例えば、
においては、
と、1次式と1次式の積が1次式になる場合がある。
体上の多項式、及び多項式環を扱う時には、次のようなよい性質がある。
割り算の原理または上の定理の(3) から導かれる次の定理は1変数多項式環を調べる際に 実に強力な武器を与える。
実は は
の(普通の意味での)最大公約数であることが
すぐにわかるが、ここではそこまでは述べない。詳しく知りたい方は
代数学 I または C の復習をして欲しい。
体 と、
上の1変数多項式環
のイデアル
とが
与えられている
とき、新しい環
が定まる。この環が次回以降の議論の中心になる。
今回はとりあえず次の補題のみをあげておこう。
余談: 前回の講義で、
という記号を用いたが、
これは、
から
をひっこ抜いた集合、もっと正確に言うと、
の元のうち 0 以外のものを集めたもの