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代数学II 試験略解
問題 14.1

次のヤング図形

について、
![$ {\mathbb{C}}[\mathfrak{S}_4]$](img3.png)
の元

が表現

上
どのような作用を行うか記述しなさい。
(略解)
 |
(★) |
これを
に作用させることを
考えればよい。
(★)の右辺の最初の3項は
に
倍で作用する。
あとの3項が問題だが、
とやって、
を計算すればよいわけだ。素直に計算してもよいが、次のように
考えると楽になる。
命題9.1により、
の作用は定数倍であるはずであることが分かっているので、
は当然
の倍数でなければならないわけである。
すなわち、展開すると
は
を含まない式になる。したがって、
となっているはずであり、右辺はすぐに
と等しいことが
確かめられる。
まとめると、
すなわち
は
上
倍として作用する。
(命題9.1 により、
上
はスカラーとして作用するから、
上のように
への作用を考えるだけで
十分であるのだが、納得がいかない人は
等の上の作用を検討してみてもよい。
文字の付け替えだけで同じことをしているのが理解できると思う。)
問題 14.2
![$ {\mathbb{C}}[\mathfrak{S}_4]$](img3.png)
の元

と、
4次のヤング図形

に対して、

を

上で表現した行列

の
最小多項式を求めなさい。
(略解)
は次のように与えられる。
とおくと、
すなわち、
の基底として
を採用したときの
の表現行列は、
で与えられる。
この行列の特性多項式は
. 計算してみると分かるが、
最小多項式は
である。
(本問の
は
の群環の中心元ともみることができ、
そうみなせば補題10.1を用いることもできる。)
問題 14.3
複素数体

を部分環として含む環

の元

の最小多項式が

であるとき、次のような条件を同時に満足する

の元

を

を用いて作りなさい。
-
-
-
ただし、

(

の3乗根の一つ)とする。
(略解)
であり、
をその固有値によって
分解しようという問題である。
とやればよい。
問題 14.4
次のような条件を同時に満足する正方行列

の例を挙げよ。(サイズは問わない)
ただし、

は(

と同じサイズの)単位行列である。
-
は非自明な3次の関係式を満足しない。
(略解)
例えば次のようなものがある。
ここに
は 前問と同じ。
のような複素数を避けたい場合には、
の表現を思い出しつつ、次のようなものを作ればよい。
問題 14.5

の
群環
![$ {\mathbb{C}}[\mathbb{D}_{8}]$](img67.png)
の元

の(

上の)
最小多項式を求めなさい。
(略解)
ゆえに、
は
を満たす。
の最小多項式は
の約数ということになる。
が2次の関係式を満たすのは不可能であるのが、
すぐに確かめられるから、
の最小多項式は、ちょうど
である。
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平成15年7月30日