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代数学I特論要約 No.3

今日のテーマ

\fbox{体 ${\mathbb {F}}_p$ 上の線型代数、多項式環}

$ K$ 上の線型代数、 とくに、行列、その和、差、積、行列式、線型方程式の解法(掃き出し法、 クラメールの公式)などは $ {\mathbb{C}}$ $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上の場合と全く同様に扱える。

例えば $ {\mathbb{F}}_5$ 上の行列

$\displaystyle A=
\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\end{pmatrix}$

の逆行列を求めてみよう。通常と同様に、それは

$\displaystyle (-2)^{-1}
\begin{pmatrix}
4 & -2 \\
-3 & 1
\end{pmatrix}$

で与えられる。注意せねばならないことは、 $ {\mathbb{F}}_5$ での $ -2(=3)$ の逆元は $ 2$ であるということである。すなわち

$\displaystyle A^{-1}=
(-2)^{-1}
\begin{pmatrix}
4 & -2 \\
-3 & 1
\end{pmatrix...
... & -2 \\
-3 & 1
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
3 & 1 \\
4 & 2
\end{pmatrix}$

である。

$ K$ 上の多項式を考えることもできる。 $ K$ 上の($ X$ を変数とする)一変数多項式の全体は環をなし、それを $ K[X]$ と書く。 多項式の既約性なども $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上のものと同様に定義される。

補題 3.1   $ K$ 上の 一変数多項式 $ f\in K[X]$ が二次式もしくは三次式であるとき、 $ f$ が ($ K$ 上の多項式として)既約であるための必要十分条件は、 $ f(a)=0$ となる元 $ a\in K $ が存在することである。

問題 3.1   $ {\mathbb{F}}_{23}$ 上の行列

$\displaystyle \begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 & 4 \\
5 & 6 & 7& 8 \\
9 & 10 & 1& 0\\
2 & 4 & 8 & 16
\end{pmatrix}$

の行列式と逆行列を求めなさい。

問題 3.2   $ 10$ 以上の素数 $ p$ を適当に選んで、 $ {\mathbb{F}}_p$ 上既約な3次式の例を一つ挙げなさい。 理由も忘れずに書くこと。



平成16年10月18日