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代数学I特論要約 No.4

今日のテーマ

\fbox{有限体上の方程式、根の添加}

元の個数が有限個の体を有限体と呼ぶ。 この講義で既にでて来たのは $ {\mathbb{F}}_p$ ($ p$ は素数)であるが、 それ以外にも存在する。

有限体上の方程式は総当たりで解くことができる。

例えば $ {\mathbb{F}}_{11}$ 上の方程式 $ X^2-2=0$ は解をもたないが、$ X^2-3=0$ は 解 $ \pm 5$ をもつことがわかる。

$ {\mathbb{F}}_{11}$ には $ 2$ の平方根がない訳だが、( $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$% latex2html id marker 766
$ \sqrt{-1}$ を付け加えて $ {\mathbb{C}}$ を得たように) $ {\mathbb{F}}_{11}$ を拡大した体 $ K$ をつくって、 $ K$ では $ 2$ が平方根をもつようにできる。

命題 4.1   体 $ K$ 上の一変数既約多項式 $ f(X)\in K[X]$ にたいして、 $ I=f(X) K[X]$ とおくと、$ I$$ K[X]$ のイデアルで、 $ L=K[X]/I$ は体である。$ f$ の次数を $ d$ とすると、 $ L$$ K$ 上の $ d$ 次元ベクトル空間 の構造をあわせもち、 $ K$ が有限体ならば $ L$ の元の個数は $ \char93  (K)^d$ 個である。

上の命題の後半はもっと一般化できて、次のことがわかる。

補題 4.1   $ K$ は有限体で、$ L$ はその拡大体であるとする。このとき、
  1. $ L$$ K$ 上のベクトル空間の構造をもつ。 ($ L$$ K$-ベクトル空間としての次元を $ [L:K]$ とよび、$ L$$ K$ 上の 拡大次数と呼ぶ。)
  2. $ K$ が有限体で、拡大次数 $ [L:K]$ も有限ならば、 $ L$ も 有限体で、

    $\displaystyle \char93 (L)=\char93 (K)^{[L:K]}
$

    がなりたつ。
  3. 任意の有限体 $ K$ に対して、その標数 $ p$ は正で、 $ K$ の元の個数 $ \char93 (K)$$ p$ の巾である。

問題 4.1  

$ 7$ 以上の素数 $ p$ を二つ選んで、おのおのの $ p$ について $ X^2-3 X+5=0$ $ {\mathbb{F}}_p$ で解をもつかどうか 判定しなさい。



平成16年10月25日