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代数学I特論要約 No.5

今日のテーマ

\fbox{体の乗法群}

$ K$ に対して、 $ K\setminus \{0\}$ は(乗法に関して)群をなす。 これを $ K$ の乗法群と呼び、 $ K^\times$ で書き表す。

参考: 一般に、(単位元をもつ結合的な)環 $ R$ に対して $ R$ の元で、$ R$ 内に逆元をもつようなものの全体を $ R^\times$ と書く。 $ R^\times$ も乗法に関して群をなす。)

有限群 $ G$ に対して、$ G$ の元の個数(位数)を $ \vert G\vert$ と書くと $ G$ の任意の元 $ g$ $ g^{\vert G\vert} =1$ を満たすこと(ラグランジュの定理) を思い出しておこう。

補題 5.1   有限体 $ K$ に対して、% latex2html id marker 771
$ \char93 (K)=q$ と書くと、$ K^\times$ の任意の元 $ x$ に対して、 % latex2html id marker 777
$ x^{q-1}=1$ がなりたつ。

系 5.1   有限体 $ K$ に対して、% latex2html id marker 782
$ \char93 (K)=q$ と書くと、$ K$ の任意の元 $ x$ に対して、 % latex2html id marker 788
$ x^q=x$ がなりたつ。とくに、$ K$ の元は % latex2html id marker 792
$ X^q-X$ の根の全体と ちょうど一致する。

% latex2html id marker 794
$\displaystyle X^q-X =\prod_{a \in K} (X-a)
$

系 5.2   $ {\mathbb{F}}_p$ 上の既約 $ d$-次式は必ず $ X^{p^d}-X$ の約数である。

問題 5.1  
  1. $ {\mathbb{F}}_{11}$ の(次数が2以上の)既約多項式 $ p(X)$ を一つ 選びなさい。
  2. 上の $ p(X)$ に対して、 $ K={\mathbb{F}}_{11}[X]/p(X){\mathbb{F}}_{11}[X]$ のなかの $ X$ のクラスを $ a$ とおく。この時、$ a,a+1$ の逆元をそれぞれ求めなさい。

問題 5.2   二桁以上の素数 $ p$ を二つ選んで、それぞれに対して $ {\mathbb{F}}_p^\times $ の 生成元を一つ挙げなさい。

問題 5.3   「参考」の部分、$ R^\times$ が群であることの証明をせよ。



平成16年11月2日