有限群とその表現
有限群の定義は簡単なものであるが、その例を知らないと机上の空論になりかねない。 実は位数が 100以下ぐらいならば、手作業でも割りと簡単に与えられた 位数の有限群を全て決定することができる。
解析のキーになるのは シローの定理で、これは位数の素因数分解に対応して群を調べることを可能にする。
そのあと実際に群を作る際には行列などによる表現を 用いるのが楽である。
本講義ではその二つのことがらについて、 例を交えながら述べる。実際に与えられた位数の群がどのぐらいあるのか 見当がつくようになれば合格である。
なんと言っても簡単なのは巡回群である。 これは
これには、 を
という巡回置換に対応することにより
置換による表現を与えることができる。
また、行列による表現を与えることもできる。 ならば
に
群の簡単な例としては他にも 個の元の置換全体からなる群(
-次対称群)
がある。例えば、
は位数
の
元である。
も位数
であったから、同じ位数をもつ群が複数
あり得ることがわかる。