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代数学 I No.11要約

\fbox{今日のテーマ} 《剰余環、準同型定理の復習》

$ R={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]/(X^2-3)$ において、 $ X\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$$ R$ でのクラスを $ [X]$ と書くと、$ [X]^2-3=0$. すなわち、 $ [X]$$ 3$ の平方根の役割を果たす。

このことをまとめたのが、次の補題である。

補題 11.1  

% latex2html id marker 776
$\displaystyle {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]/(X^2-3)\cong {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[\sqrt{3}]
$

同様に、

補題 11.2  

$\displaystyle {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]/(X-3)\cong {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}
$

が成り立つ。これらの補題の証明には、準同型定理を使うのが便利である。

補題 11.3   $ R={\mathbb{C}}[X]/(X^{10})$ において、$ X$ のクラスを $ a$ とおくと、 $ a^{10}=0$ が成り立つ。とくに、$ R$ において $ 1+a$ は可逆であり、 その逆元は

$\displaystyle 1+a+a^2+\dots+a^9
$

である。

補題 11.4   $ R={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]/(X^2-4X+2)$ において、$ X$ のクラスを $ a$ とおくと、 $ a^2-4 a+2=0$ が成り立つ。このことから、 % latex2html id marker 805
$ R\cong {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[\sqrt{2}]$ がわかる。

※レポート問題

つぎのうち一問を選択して解きなさい。 (期限:次の講義の終了時まで。)

(I).
$ R=$$ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$$ [X]/(X^2+X+1)$ において、元 $ X$$ R$ でのクラスを $ a$ と書いたとき、$ a$ の満足する方程式をみつけて、

$\displaystyle R \cong$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 821
$\displaystyle [\sqrt{-3}]
$

であることを証明しなさい。



平成18年1月17日