next up previous
Next: About this document ...

    

代数学 演習 C (コア) 問題 No.2

\fbox{今日のテーマ} 群を取り扱うときには、群の定義 (0),(1),(2),(3) に戻って考えよう。

(i).
基本的には、普通の掛け算(あるいは、足し算)をやっていると思ってよい。
(ii).
積は、可換とは限らない。
(iii).
一般には、群の演算以外を用いてはならない。

問題 2.1   群 $ G$ の元 $ x$ と、自然数 $ n$ について、 $ x$$ n$ 個の積 $ xx\dots x$$ x^n$ と書き、 $ (x^n)^{-1}$ ($ x^n$ の逆元) を $ x^{-n}$ と書きます。 任意の整数 $ a,b$ について、

$\displaystyle x^a x^b=x ^{a+b}, (x^a)^b =x^{ab}
$

が成り立つことを示しなさい。

問題 2.2   集合 $ G$ に演算 $ \cdot$ が定義され、この演算は結合法則を満たすとします。 さらに、$ G$ の任意の元 $ a,b$ について、 $ a\cdot x=b, y\cdot a=b$ となる $ x,y\in G$ が存在したとします。 (一意性は仮定しない。)この時 $ G$ は群となることを示しなさい。

問題 2.3   群の元 $ a,b$ に対して、

$\displaystyle (ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}
$

が成り立つことを示しなさい。 $ (ab)^{-1}=a^{-1}b^{-1}$ は いつでも正しいといえますか? (こういう問題では、正しい時には証明を、正しくない時には具体的な例を あげることを要求しています。)

問題 2.4   有限個の元を持つ群 $ G$ について、そのどの元 $ a$ についても、$ a^n=e$ ($ e$ は単位元)となる自然数 $ n$ が存在する事を示しなさい。

問題 2.5   群 $ G$ の任意の元 $ a$ が、、$ a^2=e$ ($ e$$ G$ の単位元) となるとすると、$ G$ は実は可換群であることを示しなさい。

問題 2.6   一般に、群の元 $ a,b$ について、

$\displaystyle ab^{-1}=b^{-1}a
$

は正しいといえますか?

問題 2.7   群 $ G$ の元 $ a,b,c,d,f,g,h,k,l$ について、次の元をできるだけ簡単に表しなさい。

$\displaystyle (abcd)^{-1} abc (h^{-1}g)^{-1}(fh)^{-1}klk^{-1}
$

問題 2.8   群 $ G$ の二つの元 $ a,b$ が、関係 $ ba=a^3b$ を満たすとき、 $ ba^5=a^{15}b$ が成り立 つことを示しなさい。

問題 2.9   群 $ G$ の二つの元 $ a,b$ が次のような関係式を満た すとします。

% latex2html id marker 1093
$\displaystyle a^{60}=e, b^4=e, \quad a b=b a^{20}
$

このとき、$ a^3=e$ であることを示しなさい。

問題 2.10   群 $ G$ の元 $ a$ $ a^{15}=e, a^{25}=e$ をみたすとき、 $ a^5=e$ であることを示しなさい。

問題 2.11   群 $ G$ の二つの元 $ a,b$ が次のような関係式を満た すとします。

% latex2html id marker 1119
$\displaystyle a^{60}=e, b^4=e, \quad a b=b a^{20}
$

このとき、$ a^3=e$ であることを示しなさい。

問題 2.12   群 $ G$ の二つの元 $ a,b$ が次のような関係式を満た すとします。

% latex2html id marker 1132
$\displaystyle a^{60}=e, \quad a b=b a^{2}
$

このとき、$ a^{15}=e$ であることを示しなさい。

問題 2.13 (線型代数の復習)  
  1. 複素数全体のなす集合 $ {\mathbb{C}}$ は、実数体 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上の線型空間であることを示しなさい。 更に、 $ {\mathbb{C}}$ $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上の基底を一つ挙げなさい。
  2. % latex2html id marker 1149
$ x=a+bi \in {\mathbb{C}}\quad (a,b\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ を固定したとき、

    $\displaystyle L_x:$ $\displaystyle {\mathbb{C}}$   $\displaystyle \to$   $\displaystyle {\mathbb{C}}$    
      $\displaystyle \cup \!\! \!\! \shortmid$       $\displaystyle \cup \!\! \!\! \shortmid$    
      $\displaystyle z$   $\displaystyle \mapsto$   $\displaystyle xz$    

    $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ -線型写像 $ L_x$ を定義できることを確かめなさい。
  3. (1) の基底を使って $ L_x$ を行列で表現しなさい。

問題 2.14 (複素数の問題)   一般に、複素数 $ z=a+bi$ に対して、平面上の点 $ (a,b)$ を対応させることができます。このとき、二つの複素数 $ z,w$ と、
  1. $ z+w$
  2. $ zw$
との位置関係が幾何学的にどうなっているかを述べなさい。

(ヒント:(1)平行四辺形の法則。(2) $ z=r(\cos (\psi) +i\sin(\psi)), w=R(\cos (\phi) +i\sin(\phi))$ とおいてみなさい。(極座標表示))

問題 2.15 (線型代数の復習)   $ A$ を 複素係数の$ n\times n$ -行列とします。このとき、

$\displaystyle A^N+ c_{N-1} A^{N-1}+c_{N-2}A^{N-2} +\dots +c_1 A+c_0 E=0
$

($ E$ は単位行列)

となる自然数 $ N$ と、複素数 $ c_{N-1}, c_{N-2}, \dots, c_0$ が存在することを示しなさい。 (ヒント、 $ M_n({\mathbb{C}})$ が有限次元であることに注意しなさい。)

問題 2.16   実数 $ \theta$ を一つ固定する。 二次正方行列 $ A,B$ を、

$\displaystyle A=
\begin{pmatrix}
\cos(\theta) &-\sin(\theta)\\
\sin(\theta) &\cos(\theta)
\end{pmatrix},
B=
\begin{pmatrix}
1 &0\\
0 &-1
\end{pmatrix}$

で定める。このとき、 $ AB=BA^{-1}$ が成り立つことを示し、 さらにそれを用いて $ A^kB=BA^{-k}$ が成り立つことを示せ。


next up previous
Next: About this document ...
2006-04-18