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1=4
代数学 C(コア) 演習問題 No.4
簡単な操作の例に、置換があります。「置き換え」ると言う意味を明確にするために、定義を確認しておきましょう。たとえば、元
は、
をならびかえて
にすると言う意味ですが、そう覚えておくと後で混乱することがあるので、
がそれぞれ《変身》して
になると覚えておくのが良いと思います。
は《変身》と言う操作であって、これを、
というようにも書きます。
ただし、違うものが同じものに変身してしまったり、あるものに変身するものがなかったりすると、《置き換え》になりませんから、それは除かなければなりません。
問題 4.1
今の例の場合には、元が

個だから、全射と単射は同値になりますが、無限個の元を持つ集合

からそれ自身

への写像では、一般にそうとは言えません。そこで整数全体の集合

からそれ自身への写像

に対して、全射であるが、単射ではないもの例と、単射であるが、全射でないものの例を挙げなさい。
さて、二つの置換の結合(演算)は通常《後ろから読》みます。たとえば、
の掛け算
は、
つまり、例えば
は
で
に化けて、次に
で
は
に化けるので、結果として
は
によって
に化けることになります。
問題 4.2
上の 状況のもとで、

を求めなさい。
問題 4.3
を直接計算して示しなさい。

は置換一般について成り立ちます。
問題 4.4
三つの元

の置換をすべて求めなさい。(全部で

個あるはずです。)
これら

個を集めた集合は、群をなすことを確かめなさい。
例えば、7つの元
の置換としての
とは、
のことです。
任意の置換は互いに同じ文字を含まない巡回置換の積として表すことができます。例えば
、置換
をよくみてみると、次のような変身の様子が分かります。
したがって、
であることが分かります。
問題 4.5
次の各置換を互いに同じ文字を含まない巡回置換の積として表しなさい。
- (1 2 3)(4 5)(1 2 3 6 7)
- (1 2)(1 2 3 4)(1 2)(2 3 5 6)
問題 4.6
次の各々の場合に

を求めなさい。
-
-
なお、答えは互いに同じ文字を含まない巡回置換の積として書いてみなさい。
(一般に、
は
の
による共役元と呼ばれます
。)
問題 4.7
置換の共役元の簡単な計算法を考えなさい。
問題 4.8

とします。

となる
ような

を一つ求めなさい。
定義 4.2
一般に、群

の元

の位数とは、

(単位元)となる最小の正の整数のことを
言います。また、群

の位数と言うのは、

の元の数のことです。
問題 4.9
任意の群

の任意の元

について、

の位数は

で生成される

の部分群
の位数と等しいことを示しなさい。
問題 4.10
巡回置換

の位数を求めなさい。
問題 4.11
二つの巡回置換

について、

に同じ文字がないとき、積

の位数を求めなさい。
定義 4.3

-個の元からなる集合

の上の置換の全体のなす群を

-次対称
群と呼び、

と書きます。
問題 4.12
3次対称群

の部分群をすべて書きなさい。(全部で六つある筈です。)
問題 4.13
4次対称群の元のそれぞれを、互いに同じ文字を含まない巡回置換の積として表しなさい
。(

個あります!)
問題 4.14

-次対称群は、互換

で生成されることを
証明しなさい。
問題 4.15

-次対称群は、互換

と巡回置換

で生成され
ることを証明しなさい。
問題 4.16

で生成される

の部分群と、
問題 5.1 で出て来た

とは本質的に同じであることを
説明しなさい。
問題 4.17
四つの元

の置換はいくつあるか答えなさい。一般に

-個の元の置換の個数はいくつありますか?
問題 4.18
三つの元の置換のなす群

は正三角形の合同変換群

と同型であることを示しなさい。
問題 4.19

の部分集合

は、次の2条件を満たすとき

の部分群であることを示しなさい。
-
-
-
逆に、部分群はこの2条件を満たすことも示しなさい。
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2006-05-02