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代数学 C 演習問題 No.10

\fbox{《準同型定理の基本的な考え方》編}

次回は、一学期の目標である《群の準同型定理》について 出題することになります。今回はその前段階として、 《群の準同型定理》の元になるアイディアについて出題します。 今回の問題では、「群」は出て来ません。集合と写像の 性質を使うだけです。問題6.12が基本になります。

集合をクラス分けする時には「集合の集合」が現れることになります。 次の問題でまず《集合》の捉え方を確認してください。 とくに、中括弧 $ \{\}$ の使い方をおろそかにしないようにして頂きたい。

問題 10.1   次の集合 $ A,B,C,D,E$ の要素の個数をそれぞれ求めなさい。
  1. $ A=\{\{1,2,3\}\}$
  2. $ B=\{\{1,2\},\{3\}\}$
  3. $ C=\{\{1,2\},\{3,\{4,5\}\}\}$
  4. $ D=\{ 1,1\}$
  5. $ E=\{\{$$x$; $x&isin#in;$Z$$ ; $x-r$ は $4$ で割り切れる。$ \};
r\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\}$

問題 10.2   $ H=($ひらがなの全体$ )=\{$あ,い,う.$...$,わ,ゐ,ゑ,を$ \}$ , $ A=($英語のアルファベットの大文字全体$ )=\{A,B,C,\dots,Z\}$ とおきます。 このとき、 次の問いに答えなさい。
  1. $ f:H\to A$ を、 $ f(x)=($xをローマ字で書いた時の終りの文字$ )$ で 定義します。$ f$ の像を求めなさい。
  2. 上の $ f$ によって、$ H$ 上に関係 % latex2html id marker 995
$ \equiv$ を、

    % latex2html id marker 997
$\displaystyle h_1 \equiv h_2 \ {\Leftrightarrow}\ f(h_1)=f(h_2)
$

    で定めると、これは同値関係になります。 この同値関係で「た」と同値になるものを全て答えなさい。
  3. 上の同値関係は、「五十音表」と言う言葉を使うとどのように 表現できるか、答えなさい。
  4. % latex2html id marker 999
$ H/\equiv $ の元の個数を求めなさい。
  5. $ g:H\to A$ を、 $ f(x)=($$x$ をローマ字で書いた時の始めの文字$ )$ で 定義しようとする時の問題点を挙げなさい。

問題 10.3   $ C_n=\langle a; a^n=e\rangle$ を、位数 $ n$ の有限巡回群 とします。 $ f:{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to C_n$ を、

$\displaystyle f(k)=a^k
$

とおくとき、次の問いに答えなさい。
  1. $ f$ により $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ 上に関係 % latex2html id marker 1023
$ \equiv$ を、

    % latex2html id marker 1025
$\displaystyle n_1 \equiv n_2 \ {\Leftrightarrow}\ f(n_1)=f(n_2)
$

    で定めると、これは同値関係になります。 この同値関係によって $ 1$ と同値なものを全て挙げなさい。 (もちろん「列挙」する必要は無い。)
  2. 上の同値関係によって 0 と同値なものを全て挙げなさい。
  3. 1. に挙げたものと 2. に挙げたものとの間の関係を述べなさい。
  4. % latex2html id marker 1030
$ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/\equiv$ の元の個数を求めなさい。

問題 10.4   $ f:{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to \frak S_4$ を,

% latex2html id marker 1039
$\displaystyle f(k)=(1\ 2\ 3\ 4)^k\quad (k \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}})
$

で定義します。このとき、
  1. $ f(0),f(-1),f(-2)$ を求めなさい。
  2. $ f$ の像を求め、その元の個数を言いなさい。
  3. $ f$ により $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ に関係 % latex2html id marker 1049
$ \equiv$ を、

    % latex2html id marker 1051
$\displaystyle a\equiv b \ {\Leftrightarrow}\ f(a)=f(b)
$

    により定めると、この関係は同値関係になります。。 この同値関係により $ 1$ と同値なものを全て挙げなさい。
  4. % latex2html id marker 1055
$ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/\equiv$ の元の個数を求めなさい。
  5. 本問に現れた同値関係と前問の同値関係との関係を述べなさい。

問題 10.5   $ C_{10}=\langle g; g^{10}=e \rangle ,C_4=\langle h; h^4=e \rangle $ とおき、 $ f:C_{10}\to C_4$ を、 $ f(g^k)=h^{2k} (k\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}})$ で定義します。 すなわち、

$\displaystyle f(g)=h^2 ,f(g^2)=h^4 (=e) ,f(g^3)=h^6 (=h^2),\dots.
$

($ f$ はうまく定義されています。 すなわち、《$ g^k=g^l$ なら $ h^{2k}=h^{2l}$ 》 が成り立ちます。 なぜですか?) さらに、$ C_{10}$ に関係 % latex2html id marker 1078
$ \equiv$ % latex2html id marker 1080
$ a\equiv b \ {\Leftrightarrow}\ f(a)=f(b)$ で定義します(これは同値関係になります)。 このとき $ C_{10}$% latex2html id marker 1084
$ \equiv$ により どのようにクラス分けされるかをクラス分けの表をつくって示し、 % latex2html id marker 1086
$ C_{10}/\equiv$ の元の個数を求めなさい。さらに、$ f$ の像も求めなさい。

問題 10.6   写像 $ f:$$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \to$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ を、 $ f(x)=(\cos(x),\sin(x))$ で定義します。このとき、 次の問いに答えなさい。
  1. $ f$ のグラフの概形を書きなさい。(答えは $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^3$ の中の曲線になるはずです。)
  2. $ f$ の像を求めなさい。
  3. $ f$ により、 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に関係 % latex2html id marker 1114
$ \equiv$ を、 % latex2html id marker 1116
$ a\equiv b \ {\Leftrightarrow}\ f(a)=f(b)$ で定義すると、これは同値関係になります。 この同値関係について、一つの点に同値な点の全体グラフでどのような位置に くるか、答えなさい。

問題 10.7   写像 $ f:{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to \mbox{${\mathbb{R}}$}^2$ を、 $ f(x)=(\cos(\frac{\pi x}{5}),\sin(\frac{\pi x}{5}))$ で定義します。このとき、 次の問いに答えなさい。
  1. $ f$ のグラフの概形を書きなさい。
  2. $ f$ の像を求めなさい。
  3. $ f$ により、 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に同値関係を、 % latex2html id marker 1135
$ a\equiv b \ {\Leftrightarrow}\ f(a)=f(b)$ で定義します。このとき、一つの点に同値な点の全体グラフでどのような位置に くるか、答えなさい。
  4. % latex2html id marker 1137
$ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/\equiv$ の元の個数を求めなさい。


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2006-06-19