next up previous
Next: About this document ...

    

代数学 C(コア) 演習問題 No.11

\fbox{準同型定理編} 今回は、一学期の目標である《群の準同型定理》について 出題します。

問題 11.1   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/9{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ から $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/3{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ への写像 $ f$

$\displaystyle f([n]_9)=[n]_3
$

で定めます。このとき、
  1. $ f$ は全射準同型写像であることを示しなさい。
  2. $ f$ によって $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/9{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ の各元が $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/3{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ のどの元にうつるか? 対応表を書き上げることによって示しなさい。
  3. $ f$ によって同じもの同士を同じクラスにして $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/9{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ をクラス分けし、 クラス分けの表を書きなさい。
  4. $ \operatorname{Ker}f$ を求めなさい
  5. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/9{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ $ \operatorname{Ker}f$ を法としてクラス分けしなさい。

問題 11.2   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/8{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ から $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/6{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ への写像 $ f$

$\displaystyle f([n]_8)=[3n]_6
$

で定めます。このとき、
  1. $ f$ は準同型写像であることを示しなさい。
  2. $ f$ の像を求めなさい。
  3. $ f$ によって $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/8{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ の各元が $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/6{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ のどの元にうつるか? 対応表を書き上げることによって示しなさい。
  4. $ f$ によって同じもの同士を同じクラスにして $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/8{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ をクラス分し、 クラス分けの表を書きなさい。
  5. $ f$ の核を求めなさい
  6. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/8{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ $ \operatorname{Ker}f$ を法としてクラス分けしなさい。

問題 11.3   有限群 $ G$ が一つの元 $ g$ で生成されているとき、 $ G$ は有限巡回群と同型であることを示しなさい。

問題 11.4   無限群 $ G$ が一つの元 $ g$ で生成されているとき、$ G$ $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ と同型であること を示しなさい。

問題 11.5  
  1. $ 20{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ $ 4{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ の正規部分群であることを示しなさい。
  2. 写像 $ f:{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/5{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ を、 $ f(x)=[x]_5$ で定義すると、 $ f$ は準同型写像になることを示しなさい。
  3. 上の $ f$ の核を求め、 $ 4{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/20{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/5{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ と同型であることを 示しなさい。

問題 11.6   $ m,n$ はそれぞれ正の整数であるとします。 この時、 $ m{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/mn{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/n{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ と同型であることを示しなさい。

問題 11.7   複素数 $ z$ に対して、その共役を $ \bar {z}$ であらわします。このとき、
  1. $ {\mathbb{C}}\ni z\mapsto \bar{z} \in {\mathbb{C}}$ は複素数全体のなす加法群 $ ({\mathbb{C}},+)$ からそれ 自身への同型写像を与えることを示しなさい。
  2. $ {\mathbb{C}}^{\times}\ni z\mapsto \bar{z} \in {\mathbb{C}}^{\times}$ は複素数全体から 0 を 除いたもののなす乗法群 $ ({\mathbb{C}}^{\times},\times)$ からそれ自身への同型写像を与えるこ とを示しなさい。

問題 11.8   複素数を成分に持つ行列 $ A=(a_{ij})$ に対して、その随伴行列 $ A^*$ を、

$\displaystyle A^*=(\bar{a_{ji}})
$

で定義します。(すなわち、$ A^*$ は、$ A$ の転置行列 $ {}^{\text{t}}A$ の各行列成分 についておのおのの複素共役をとったものです。) 例えば、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
1 &4+5i \\
2+3i &6+7i
\end{pmatrix}^*=
\begin{pmatrix}
1 & 2-3i \\
4-5i &6-7i
\end{pmatrix}$

と言う具合です。この時、
  1. 複素数を成分に持つ $ n$ -次正方行列 (=$ n\times n$ -行列)全体を $ M_n({\mathbb{C}})$ と書 けば、 $ M_n({\mathbb{C}}) \ni A\mapsto A^*\in M_n({\mathbb{C}})$ は行列の加法群 $ (M_n({\mathbb{C}}),+)$ からそれ自体 への同型写像であることを示しなさい。
  2. 複素数を成分に持つ可逆 $ n$ -次正方行列 (=$ n\times n$ -行列)全体を $ {\operatorname{GL}}_n({\mathbb{C}})
$ と書けば、 $ {\operatorname{GL}}_n({\mathbb{C}}) \ni A\mapsto (A^*)^{-1}\in {\operatorname{GL}}_n({\mathbb{C}})$ は可逆行列全体のなす乗法群 $ ({\operatorname{GL}}_n({\mathbb{C}}),\times)$ (一般線型群と呼ばれる)からそれ自体への同型写像であることを 示しなさい。

問題 11.9   複素数を成分に持つ正方行列 $ A$ がユニタリ行列であるとは、 $ A^*A=I $    (単位行 列) が成り立つ時に言います。さて、ユニタリ行列全体 $ \operatorname{U}(n)$ は乗法に関して群を なすことを示しなさい。( $ \operatorname{U}(n)$ はユニタリ群と呼ばれます。)

問題 11.10  
  1. 写像

    $\displaystyle \operatorname{det}: {\operatorname{GL}}_n({\mathbb{C}}) \ni A\mapsto \operatorname{det}(A) \in {\mathbb{C}}^{\times}
$

    は準同型であることを示しなさい。
  2. $ \operatorname{det}(A^*)=\overline{\operatorname{det}(A)}$ であることを示しなさい。
  3. $ A$ がユニタリ行列なら、 $ \vert\operatorname{det}(A)\vert=1$ であることを示しなさい。

問題 11.11   $ f,g$ はともに群 $ G$ から 群 $ H$ への準同型であるとします。 このとき、

$\displaystyle K=\{x\in G; f(x)=g(x)\}
$

$ G$ の部分群であることを示しなさい。$ K$$ G$ の正規部分群とは 限らないことを、実例を挙げて示しなさい。

問題 11.12   同型

   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$$\displaystyle /{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\cong
\left\{
\begin{pmatrix}
\cos(\thet...
...hantom{-}\cos(\theta)
\end{pmatrix};
\theta \in \mbox{${\mathbb{R}}$}
\right\}
$

の存在を示しなさい。

問題 11.13   $ f:G\to G'$ が群のあいだの準同型で、 $ G$ の正規部分群 $ N$ が、 $ f(N)=\{e'\}$ ($ e'$$ G'$ の単位元) を満たすならば、 準同型 $ g:G/N\to G'$ が存在して、$ f=g\iota$ を満たすことを示しなさい。 ただし、ここで、 $ \iota:G\to G/N$ は自然な準同型のこととします。

問題 11.14   $ T=\{z\in {\mathbb{C}}; \vert z\vert=1\}$ $ {\mathbb{C}}^\times$ の正規部分群となり、剰余群 $ {\mathbb{C}}/T$ $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^\times$ と同型であるということを示しなさい。


next up previous
Next: About this document ...
2006-06-26