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数学概論1A要約 No.13

\fbox{初等関数(1)}

三角関数, 指数関数, 対数関数等のいわゆる初等関数を 数学的に厳密に定義するためには、もうすこし準備を要する。 具体的には、角度、線分の長さ、面積の具体的な定義や、べき級数の とりあつかい等である。 ただ、これらの関数を全く知らないでいると不便なので、 ある程度厳密性を犠牲にして以下では概略を述べる。 高校までにならったことを思い出しておくとよい。

定義 13.1   $ x$ -$ y$ 平面の単位円 $ C:x^2+y^2=1$ を考える。 $ x$ 軸の正の部分と角度 $ \theta$ だけ進んだ半直線 $ \ell$$ C$ との交点 $ P$$ x$ 座標を $ \cos(x)$ , $ y$ 座標を $ \sin(x)$ と 書く。

注意点: 角度は(とくに断らない限り)常に弧度法を用いる。

定理 13.1  

$\displaystyle \lim_{x\to 0} \frac{\sin(x)}{x}=1
$

定義 5.1 の $ e$ を思い出しておこう。

$\displaystyle e= \lim_{n\to \infty} \left( 1+\frac{1}{n} \right)^n
$

定義 13.2   指数関数 $ e^x$ の逆関数を $ \log(x)$ で書き、$ x$ の自然対数とよぶ。

定理 13.2 (``定理1.19'')   次のことがなりたつ。
  1. $ \lim_{x\to \pm \infty}(1+\frac{1}{x})^x=e$ .
  2. $ \lim_{x\to 0}(1+x) ^{1/x}=e$ .
  3. $ \lim_{x\to 0} \frac{\log(1+x)}{x}=1$ .
  4. $ \lim_{x\to 0}\frac{e^x-1}{x}=1$ .

問題 13.1   本問では、三角関数、指数関数の性質はある程度証明なしに使って良い。
  1. 実数直線 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ で定義された関数 $ f(x)$ で、

    % latex2html id marker 818
$\displaystyle f(x+1)> f(x) \qquad (\forall x \in$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$$\displaystyle )
$

    をみたすが、(広義でも狭義でも)単調増加ではないものの例をあげなさい。
  2. 実数直線 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上で定義された連続関数で、狭義単調増加、かつ 有界であるが、 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上で最大値も最小値も持たないものの例をあげなさい。



2007-07-10