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微分積分学概論AI要約 No.10

\fbox{関数の連続性の定義}

定義 10.1   $ f$ は実数 $ a$ の近くで定義された関数であるとする。 このとき、$ f$$ a$ で連続であるとは、

$\displaystyle \lim_{x\to a} f(x)=f(a)
$

がなりたつときにいう。

極限の定義により、上の定義は次のように言い換えられる。

$\displaystyle \forall \epsilon>0, \exists \delta>0;
(0< \vert x-a\vert<\delta  \implies  \vert f(x)-f(a)\vert<\epsilon)
$

$ x=a$ の場合を考慮に加えると、次のような定理がなりたつことがわかる。

定理 10.1   $ f$ は実数 $ a$ の近くで定義された関数であるとする。 このとき、 $ f$$ a$ で連続であることは、次の条件と同値である。

(☆) $ \forall \epsilon>0, \exists \delta>0;
( \vert x-a\vert<\delta  \implies  \vert f(x)-f(a)\vert<\epsilon)
$

上の定義で、 $ \vert x-a\vert$$ x$$ a$ の距離、 $ \vert f(x)-f(a)\vert$$ f(x)$$ f(a)$ の距離であることに注意する。上の定理による連続性の「定義」は 多変数関数や、距離空間のあいだの写像の連続性の定義に そのまま一般化することができる。

上の定理は「定理」ではあるが、 連続性の定義における ``$ x=a$ '' の「例外的な扱い」を取り除いてむしろ 自然な形をしている。そこでこの講義ではもっぱら連続性を確かめるには 上の定理の(☆)で判定することにする。

例題 10.1   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上で定義された関数 $ f(x): x\to x^4-5 x^3$ にたいして、
  1. $\displaystyle \vert x-5\vert<\delta  \implies \vert f(x)-f(5)\vert <0.1
$

    を満たす正の数 $ \delta$ の例を挙げ、 実際にそれがなりたつことを確かめなさい。

  2. $\displaystyle \vert x-5\vert<\delta  \implies \vert f(x)-f(5)\vert <0.01
$

    を満たす正の数 $ \delta$ の例を挙げ、 実際にそれがなりたつことを確かめなさい。

  3. $ f(x)$$ x=5$ で連続であることを (☆)を確かめることにより証明しなさい。

$ \forall, \exists, \implies$ の否定。

一般に、

したがって、(☆)の否定、すなわち、 「$ f$$ a$ で連続でない」ことは、 次のように書き表すことができる。

(★) $ \exists \epsilon>0; \forall \delta>0 \
( \vert x-a\vert<\delta \ $    かつ % latex2html id marker 848
$ \ \vert f(x)-f(a)\vert\geq \epsilon)
$

問題 10.1   関数 $ f:$$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \to$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$

\begin{displaymath}
% latex2html id marker 860f(x)=
\begin{cases}
\sin(1/x) & ...
...q 0 \text{ のとき })\\
0 & (x =0 \text{ のとき })
\end{cases}\end{displaymath}

で定義するとき、 $ f$$ x=0$ で連続ではないことを証明しなさい。



2008-06-19