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複素数と論理(学問基礎数学コース演習) No.3

\fbox{「or」と「ならば」} 前回 $ A,B\in M_2($$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ のときや $ A,B\in {\mathbb{C}}$ のとき、それぞれについて

$\displaystyle A B=0 \implies A=0$    or $\displaystyle B=0
$

かどうか、ということについて尋ねたが、数学(に限らず、論理的な 話が必要な世界)では、言葉のアヤや「行間を読む」という曖昧さを 排除するため、 「or」と「$ \implies$ (ならば)」などのの意味はいつでも つぎのように使うように決まっている。

定義 3.1   命題 P にたいし、 その真理値は、Pが真のとき 1, P が偽のとき 0 で定める。

定義 3.2   命題 P,Q にたいして、その真理値を p,q とするとき、
  1. 「P and Q」の真理値は % latex2html id marker 777
$ \min(p,q)$ である。
  2. 「P or Q」の真理値は % latex2html id marker 779
$ \max(p,q)$ である。
  3. 「not P」の真理値は $ 1-p$ である。
  4. $ P \implies Q$ の真理値は 「(not P ) or Q 」の真理値と同じになるように定義する。

とくに注意が必要なのは、「P or Q」 と 「 $ P \implies Q$ 」 の使い方である。


複素数を「数」の仲間として認めるのにさいし、 複素数の全体が、 $ M_2($$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ はもたない良い性質をもつということが 前回の問題でわかる。

つぎは、複素数を視覚的に理解するという段階に進もう。 それには次のような意義がある:

  1. 問題を把握しやすくする。
  2. 問題の直観的な見方を強化し、間違いをしにくくする。

定義 3.3   平面 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ (のコピー)を一つ用意し、複素数 % latex2html id marker 801
$ a+b \sqrt{-1}$ に 点 $ (a,b)$ を対応させたものを複素平面と呼ぶ

複素平面自体のことも $ {\mathbb{C}}$ とよぶことがある。

複素数の加法はベクトルの加法と同じだから、次のことが成り立つ。

補題 3.1  
  1. 複素数 $ z,w$ に対して、$ z+w$ は、$ 0,z,z+w,w$ が平行四辺形になる 位置にある。
  2. 複素数 $ z$ にたいして、 $ -z$ は 0 に関して $ z$ と点対称な 位置にある。

複素数の乗法はどうだろうか、完全な答えは来週与えることにして、 今週は次の補題と問題をやって頂こう。

補題 3.2   複素数 $ z$ にたいして、 % latex2html id marker 832
$ \sqrt{-1} z$$ z$ を原点を中心に $ \frac{\pi}{2}$ だけ反時計回りに回転させた位置にある。

問題 3.1   % latex2html id marker 843
$ z=1+\sqrt{-1}$ にたいし、 $ 1, z,z^2,z^3,z^4,z^5$ を複素平面上にプロットした図を描いてみよ。



2009-01-21