三角関数を 数学的に厳密に定義するためには、もうすこし準備を要する。 具体的には、角度、線分の長さ、面積の具体的な定義や、べき級数の 取り扱い等である。 ただ、これらの関数を全く知らないでいると不便なので、 ある程度厳密性を犠牲にして以下では概略を述べる。 高校までにならったことを思い出しておくとよい。
定義から、次の式がなりたつ。
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(三角関数の微分の基本になる式)
三角関数、指数関数、対数関数の微分は、前回および今回の「基本になる式」と 次のような加法公式(乗法公式)をもちいて計算される。
がなりたつ。
を(できれば今回の諸定理と
任意の
にたいして、
より大きい整数
をとってくる。
(アルキメデスの原理により、そのような整数は存在する。)
なる任意の
にたいして、
よって、(
解説
の最初の数項を実際に小数で数値計算している答案も見受けられた。
そのような試みも大変有意義であると思う。コンピュータの数式処理ソフトで
計算してみると、最初の5項は次のようになる。
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では、コンピュータが使えない場合はどのように計算すれば良いだろうか。
例えば、
はどのように計算すれば良いだろうか。
区間縮小法を用いてみよう。(すると逆関数の定理の「ココロ」がわかる。)
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問題11.2 解答。 こちらは難問であった。(ア)と (イ)の二つのステップに分ける。
(ア) まず
が単調増加であることを示そう。
とできる。
すなわち
(イ)本題に移ろう。任意の
にたいして、
より
大なる整数
をとり、
とおく。(とりかたにより、
自動的に
がなりたつことと、
であることがわかる。)
11.1 の解答と同様にして、
がわかる。両辺の逆数をとって、
がなりたつ。すなわち、
が言えることが分かった。