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代数学II要約 No.12

今日のテーマ: \fbox{「群の表現」の定義、正則表現}

$ A$ と有限群 $ G$ が与えられているとき、 群環 $ A[G]$ が定義されることはすでに定義3.4 で示した。

実は、$ G$$ A[G]$ 自体の上に表現できる。 このことを、とくに $ R$ が体 $ K$ のときに詳しく見てみることにする。

定義 12.1 (定義3.5)   可換体 $ K$ 上の $ G$$ n$ -次元表現 $ \Phi$ とは、 $ G$ から $ {\operatorname{GL}}_n(K)$ への群準同型 のことをいう。

$ K$ 上の $ G$$ n$ -次元表現 $ \Phi$ が決まると、 $ K[G]$$ V=K^n$ への作用が命題3.6 のように定まって、 $ V$$ K[G]$ -加群の構造を持つ。逆に、$ K$ -上有限次元の $ K[G]$ -加群 $ V_1$ が与えられれば、(すなわち、$ K$ -ベクトル空間 $ V_1$ 上に $ G$ の作用が定まっていれば、) その基底を固定することにより、$ G$ の表現が定まることが 容易に分かる。 行列を書くよりもその方が簡明であることが多いので、 以下では多くの場合 $ K[G]$ の作用でもって表現を定義する。

補題 12.2   有限群 $ G$ と体 $ K$ が与えられているとする。$ K[G]$ 自身は $ K[G]$ 上の左加群と みなすことができる。 この表現 $ \lambda$$ G$ の左正則表現と呼ぶ。

厳密にいえば、$ G$ の元にどのように順番を付けるかによって $ G$ の各元を表す行列は違ってくる。 ここでは $ G$ の元の順番は適当に付けて、それを明示した上で行列で表現する ことにする。

問題 12.1   $ 4$ つの元の偶置換全体のなす群 $ \mathfrak{A}_4$ の正則表現で、 $ (1 2  3)$ および $ (1 2)(3 4)$ に対応する行列を書き下しなさい。 ( $ \mathfrak{A}_4$ の元の順番を明示しておくこと。)

問題 12.2   位数 $ 2n$ の二面体群

$\displaystyle \mathbb{D}_{2n}=\langle a,b ; a^n=e, b^2=e, bab^{-1}=a^{-1}\rangle
$

の正則表現で、 $ n=2,3$ の場合(できれば、もっと一般の場合も) $ a,b$ に対応する行列はどのようになるか答えなさい。 (二面体群については、すでに二年生段階で習っているはずなので、本問では詳しくは 述べない。)



2010-07-01