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微分積分学概論AI要約 No.12
定義 12.1 (``§3 (I)(p.18)'')
実数のある区間

で定義された関数

が狭義単調増加関数であるとは、
をみたすときにいう。
たまにこの条件を
と同じと勘違いしている学生を
見かけるが、これはもちろん違う。
や、
を考えてみれば良い。(ウラ面の図も参照)
定理 12.2 (``定理17の系'')

が閉区間
![$ [a,b]$](img8.png)
上の狭義単調増加な連続関数であれば、
の逆関数
が存在する。
さらに、この

は連続で、かつ狭義単調増加である。
例 12.3
正の整数

に対して、
0
以上の実数を定義域とする関数




は連続であり、狭義単調増加である。この関数は全射でもあるから、

は逆写像を持つ。この関数を
と書く。
つまり
![% latex2html id marker 1015
$ y=\sqrt[n]{x}$](img18.png)
は

を満たす唯一の正の実数である。
命題 12.4
任意の正の実数

に対して、
がなりたつ。
Proof.
![% latex2html id marker 1031
$ y=\sqrt[n]{x}$](img23.png)
とおくと、定義により、

.
ゆえに、

は

乗して

になる実数である。
そのような実数は唯一つ、すなわち
![% latex2html id marker 1043
$ \sqrt[n]{x^k}$](img27.png)
しかないのであるから、
両者は等しい。
同様にして、次のことが分かる。
命題 12.5
正の整数

が

を満たせば、任意の実数

にたいして、
がなりたつ。
この命題がなりたつので、
のことを
と
書いても誤解の恐れがない。
例 12.6
この例では、高校で習う三角関数の知識は
既知であるとする。
-
は狭義単調増加連続関数である。その逆関数のことを
と書く。
-
は狭義単調減少連続関数である。その逆関数のことを
と書く。
-
は狭義単調増加連続関数である。その逆関数のことを
と書く。
はそれぞれ
などと書くこともある。
中間値の定理の証明が途中になってしまったので、ここでその証明を書いておこう。
に対して、
と仮定する。
![$\displaystyle S=\{c \in [a,b]; \forall x \in [a,c]$](img46.png)
にたいして
とおく。
仮定
により
がわかる。
とくに、
である。
他方で
は
の部分集合だから、
有界。ゆえに、
は上限
をもつ。
-
の場合。
仮定 (
) により
がわかる。
は
において連続であるから、
に対して、
ある
が存在して、
![$\displaystyle (x\in [a,b ]$](img57.png)
and
とくに、
として
をとれば,
かつ
であるから、
(12.1) |
 |
他方で
は
の上限であるから、
には
ある元
が存在する。
であることと、
の定義を
みると、
がわかる。 これは (12.1)式と矛盾する。
-
の場合。
仮定 (
) により
がわかる。
は
において連続であるから、
に対して、
ある
が存在して、
![$\displaystyle (x\in [a,b ]$](img57.png)
and
とくに、
なる
任意の
に対して、
(12.2) |
 |
他方で
は
の上限であるから、
には
ある元
が存在する。
の定義により、
![$\displaystyle \forall x \in [a,s_0]$](img74.png)
に対して
このことと (12.2)式を併せると、
が結論され、
これは
の定義に矛盾する。
以上により、
.
参考までに定義 12.1 の下の注意で述べた
のグラフを
載せておこう。
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2011-07-01