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論理と集合要約 No.13

第13回目の主題 : \fbox{写像は定義域の元を類別する。}

定義 13.1 (再)   集合 $ X$ の部分集合の族 $ \{C_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda}$$ X$クラス分け (分割とも言う)であるとは、つぎのことが成り立つときに言う。
  1. $ \displaystyle \bigcup_{\lambda \in \Lambda} C_\lambda =X$ .
  2. $ \lambda_1,\lambda_2 \in \Lambda$ , % latex2html id marker 1131
$ \lambda_1 \neq \lambda_2 $ ならば $ C_{\lambda_1} \cap C_{\lambda_2} =\emptyset$ .

定義 13.2 (再)   $ X$ の2つの元 $ x,y$ にたいして、$ x \sim y$ か、そうでない( $ x\not\sim y$ ) か がきちんと定まっていて、次の性質を持つとき、$ \sim $ のことを $ X$ 上の同値関係という。
  1. $ \forall x \in X \forall y \in X \forall z \in X$ (「$ x \sim y$ and $ y \sim z $$ \implies$ $ x \sim z$ ).
  2. $ \forall x \in X$ ($ x \sim x$ ).
  3. $ \forall x \in X \forall y \in X $ ($ x \sim y$ $ \implies$ $ y \sim x$ ).

「同値関係」と、論理で言うところの「同値」とは (遠縁の親戚ぐらいにはあたるが)、別物である。よく区別すること。

問題 13.1 (再)   $ X$ のクラス分け $ \{C_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda}$ が与えられたとき、 $ x \sim x'$ であることを

$\displaystyle \exists \lambda ( x\in C_\lambda$    and $\displaystyle x' \in C_\lambda)
$

か否かで判定すれば、この $ \sim $ は同値関係であることを示しなさい。

問題 13.2 (再)   $ X$ に同値関係 $ \sim $ が与えられているとする。 $ x \in X$ に対して、

$\displaystyle C_x= \{ x' \in X ; x'\sim x\}
$

とおくとき、次のことを示しなさい。
  1. $ x \in C_x $ . とくに、 $ \displaystyle \bigcup_{x \in X } C_x =X$ .
  2. $ x' \in C_x $ $ \implies$ $ x \in C_{x'}$ .
  3. % latex2html id marker 1213
$ C_x \cap C_{x'} \neq \emptyset \ {\Leftrightarrow}\ x \sim x' \ {\Leftrightarrow}\
C_x = C_{x'} $ .

先ほどと同様に、$ C_x$ のなかから重複するものを省くことにより、 $ X$ のクラス分けを得ることができる。 容易に分かるように、上記2問題の操作は互いに逆になっている。 すなわち、クラス分けを与えることとと同値関係を与えることは 本質的に同じ事である。

定義 13.3   集合 $ X$ に同値関係 $ \sim $ が与えられているとき、 問題 13.2 で見たように $ X$ に次のようなクラス分けが定まるのであった。

$\displaystyle x_1\in X$    と $\displaystyle x_2 \in X$    とが同じクラス $\displaystyle {\Leftrightarrow}x_1 \sim x_2.
$

このクラス分けによるクラスの全体を $ X/\sim$ とよび、$ X$$ \sim $ による 商集合とよぶ。

問題 13.3 (再)   写像 $ f:X \to Y$ が与えられているとき、 $ x \sim_f x'$ か否かの判定を $ f(x) = f(x')$ か否かでするとき、 すなわち、

$\displaystyle x \sim_f x' \ {\Leftrightarrow}\ f(x) = f(x')
$

と定めるとき、$ \sim_f $$ X$ の同値関係であることを 定義に従って示しなさい。

上の問題の $ \sim_f $ を以下でも流用する。

問題 13.4 (再)   $ f: {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$$ f(n)=n^2$ で定義するとき、
  1. $ 1 \sim_f n$ となるような $ n\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ をすべて求めなさい。
  2. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$$ \sim_f $ に関するクラス分けの表を書きなさい。

問題 13.5 (再)   $ f:$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2 \ni (x,y) \mapsto x \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、
  1. $ (1,0) \sim_f (1,5)$ であることを示しなさい。
  2. $ (1,0) \not\sim_f (2,5)$ であることを示しなさい。
  3. $ (1,0) \sim_f (a,b)$ となるような $ (a,b)\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ をすべて求めなさい。

問題 13.6 (再)   $ f:$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2 \ni (x,y) \mapsto x^2+y^2 \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、
  1. $ (1,0) \sim_f (0,-1)$ であることを示しなさい。
  2. $ (1,0) \not\sim_f (2,5)$ であることを示しなさい。
  3. $ (1,0) \sim_f (a,b)$ となるような $ (a,b)\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ をすべて求めなさい。

問題 13.7   $ f:$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \ni t \mapsto (\cos(t),\sin(t)) \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、
  1. $ 0 \sim_f 2 \pi$ であることを示しなさい。
  2. $ 0 \not\sim_f \pi$ であることを示しなさい。
  3. $ 0 \sim_f a$ となるような $ a\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ をすべて求めなさい。
  4. $ a \sim_f b$ となるための $ a,b\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ の条件は なんだろうか。

問題 13.8   $ X=$(平仮名の全体のなす集合) , $ y=$(アルファベット小文字全体のなす集合) , $ f:X \to Y$$ x \in X$ に対して、$ x$ を ローマ字小文字表記(ヘボン式)した時の最後の文字に写すことにより定める。 このとき、

  1. あなたの自由に選んだ平仮名5文字 $ x_1,x_2,x_3,x_4,x_5$ について、 $ f(x_1),f(x_2),f(x_3),f(x_4),f(x_5)$ を求めなさい。
  2. 「あ $ \sim_f $ た」 であることを示しなさい。
  3. 「い $ \not\sim_f $ た」 であることを示しなさい。
  4. $ \sim_f $ に関して同じクラスであるための条件を簡潔に述べなさい。
  5. 商集合 $ X/\sim_f$ の元の個数 $ \char93 (X/\sim_f)$ はいくつか。

問題 13.9   $ X={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}_{>0}$ , $ Y=\{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9\}$ とし、 $ f:X \to Y$ を、 $ f(x)=$($x$ を10で割った余り) で定義する。 このとき、
  1. あなたの自由に選んだ正の整数 $ x_1,x_2,x_3,x_4,x_5$ について、 $ f(x_1),f(x_2),f(x_3),f(x_4),f(x_5)$ を求めなさい。
  2. $ 75 \sim_f 55 $ であることを示しなさい。
  3. $ 85 \not \sim_f 1018$ であることを示しなさい。
  4. $ \sim_f $ に関して同じクラスであるための条件を 10進数による表記をもちいて簡潔に述べなさい。
  5. $ x \sim_f y$ $ x-y \in 10 {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ は同値であることを示しなさい。
  6. 商集合 $ X/\sim_f$ の元の個数 $ \char93 (X/\sim_f)$ はいくつか。


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2011-07-13