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代数学 IA演習問題 No.7

\fbox{剰余集合編}

$ G$ を群、$ H$ をその部分群とする。このとき、 $ G$ に、次のようにして同値関係 % latex2html id marker 926
$ \equiv_H$ が定まります。

% latex2html id marker 928
$\displaystyle x\equiv_H y  {\Leftrightarrow} $   ある $h&isin#in;H$ があって、$\displaystyle xh=y$ が成り立つ。

この同値関係は群論においてはとくに重要なので、 記号 % latex2html id marker 931
$ x \equiv_H y$ の代わりに、

% latex2html id marker 933
$\displaystyle x \equiv y \quad ({\operatorname{mod}} H)
$

と書いて、 《$ x$$ y$$ H$ を法として左合同である》と言う事にします。 考えている 部分群 $ H$ が明確なときには、「 $ ({\operatorname{mod}} H)$ 」 を書くのは省略して良いです。 $ x$ のクラス $ C(x)$$ x$$ H$ を法とする左剰余類と言います。

定義 7.1   上のように決めた同値関係 % latex2html id marker 958
$ \equiv  ({\operatorname{mod}} H)$ による $ G$ の商集合 % latex2html id marker 962
$ G/\equiv$$ G/H$ と書き、$ G$$ H$ による左剰余類集合という。

問題 7.1   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ の部分群として、 $ H=55{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ を考えます。 このとき、

% latex2html id marker 979
$\displaystyle x\equiv 12  ({\operatorname{mod}} H)
$

となるような $ x$ の例を5つ答えなさい。(なお、答には正の数ばかりでなく 負の数も入れること。)

定義 7.2   $ n$ 個のもの $ 1,2,3,\dots,n$ の置換全体は群になります。 この群を $ n$ 次の対称群とよび、$ \frak S_n$ と書きます。

問題 7.2  

$\displaystyle H=\{\sigma \in \frak S_3; \sigma(3)=3\}
$

と置きます。
  1. $ H$ の元を全て書き出しなさい。
  2. $ H$ を法とする同値関係によって、$ \frak S_3$ がどのように クラス分けされるか、クラス分けの表をつくって示しなさい。
  3. $ \frak S_3$ の元

    $\displaystyle \begin{pmatrix}
1& 2& 3 \\
i& j& k
\end{pmatrix}$

    $ \frak S_3$ の単位元 $ e$$ H$ を法とする同値関係で 同値になるのはいつか、$ i,j,k$ を使って 答えなさい。

問題 7.3   前問で、 $ \frak S_3$ $ \frak S _4$ に換えて、

$\displaystyle H=\{\sigma \in \frak S_4; \sigma(4)=4\}
$

と置きます。このとき前問と同様な問題に答えなさい。

問題 7.4   $ n$ を正の整数とします。

$\displaystyle H=\{\sigma \in \frak S_n; \sigma(n)=n\}
$

と置きます。
  1. $ H$ $ \frak S_{n-1}$ と同一視できることを示しなさい。
  2. $ \frak S_n/H$ の元の個数を求めなさい。

問題 7.5   有限巡回群 $ C_n=\langle g_1; g_1^n=e \rangle $ について考えます。
  1. $ C_{12}$ の、$ \{g_1^3\}$ によって生成される部分群 $ H_1$ は 何になるか、元を全て挙げることによりいいなさい。
  2. $ C_{12}$ の、$ \{g_1^5\}$ によって生成される部分群 $ H_2$ は 何になるか、元を全て挙げることによりいいなさい。
  3. $ C_{12}$ の、 $ \{g_1^{10}\}$ によって生成される部分群 $ H_3$ は 何になるか、元を全て挙げることによりいいなさい。
  4. $ C_{12}/H_?$ (?=1,2,3) の元の個数を求めなさい。

問題 7.6   $ C_{20}=\langle g_1; g_1^{20}=e \rangle $ の、 $ H=\langle \{g_1^4\} \rangle $ を法とする同値関係によるクラス分けを、クラス分けの表を つくって示しなさい。

問題 7.7   $ n,l$ を正の整数とします。 $ C_n$ の部分群 $ H$ を、 $ H=\langle \{g_1^l\} \rangle $ により決めます。 このとき、$ H$ の元の個数と、左剰余類集合 $ C_n/H$ の 元の個数を求めなさい。

問題 7.8   $ n$ を正の整数とします。

$\displaystyle H=\{\sigma \in \frak S_n; \sigma(n)=n$    かつ $\displaystyle \sigma(n-1)=n-1\}
$

と置きます。
  1. $ H$ $ \frak S_{n-2}$ と同一視できることを示しなさい。
  2. $ \frak S_n$ の二元

    $\displaystyle \begin{pmatrix}
1 &2 & 3 & \dots & n-1 & n\\
i_1&i_2&i_3&\dots&i...
...trix}
1 &2 & 3 & \dots & n-1 & n\\
j_1&j_2&j_3&\dots&j_{n-1}&j_n
\end{pmatrix}$

    $ H$ を法として同値なのはどういう時ですか?
  3. $ \frak S_n/H$ の元の個数を求めなさい。

問題 7.9  
  1. % latex2html id marker 1127
$ {\mathbb{C}}^\times=\{z\in{\mathbb{C}}; z\neq 0\}$ はかけ算に関して群になることを示しなさい。
  2. $ H=\{z\in {\mathbb{C}}; \vert z\vert=1\}$ $ {\mathbb{C}}^\times$ の部分群になることを示しなさい。
  3. $ {\mathbb{C}}^\times$$ H$ を法としてどのようにクラス分けされるか、 複素平面を利用して説明しなさい。

問題 7.10 (各1)   $ \mathfrak{S}_4$ の部分群のうち、$ \{e\}$ $ \mathfrak{S}_4$ 自身 以外のものを挙げなさい。ただし、単なる文字の付け替えは同じものと見なす。

問題 7.11 (各1)   $ \mathfrak{S}_5$ の部分群のうち、$ \{e\}$ $ \mathfrak{S}_4$ 自身 以外のものを挙げなさい。ただし、単なる文字の付け替えは同じものと見なす。


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2012-05-23