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線形代数学概論 A No.1要約

本講義の目標 \boxed{\text{ベクトル空間と線形写像を理解する。}}

\fbox{今日のテーマ} ベクトル、ベクトル空間とはなにか。

定義 1.1 (記号)  
  1. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ : 整数の全体の集合
  2. $ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$ : 有理数の全体の集合
  3. $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ : 実数の全体の集合
  4. $ {\mathbb{C}}$ : 複素数の全体の集合

全体の集合ということが大事である

定義 1.2   2次元数ベクトル

% latex2html id marker 779
$\displaystyle \mathbf a=
\begin{pmatrix}
a_1 \\ a_2
\end{pmatrix}\quad ;\quad a, b \in$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$

全体の集合を2次元数ベクトル空間とよび、 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ と書く。

  1. さしあたっては、上記のように縦ベクトルを扱うことにする。
  2. ベクトルを単なる数と区別するために、高校の時のように $ \vec a$ と書くこともあるし、上のように太文字で書くこともある。このテキストでは、 本講義の教科書に従い、太文字を使うことが多いだろう。

同様にして、$ 3$ 次元数ベクトル、$ 3$ 次元数ベクトル空間、 もっと一般に $ n$ 次元数ベクトルと $ n$ 次元数ベクトル空間が定義される。

$ n$ 次元ベクトルには、成分ごとの和とスカラー倍(定数倍)により、 と、 スカラー倍が定義される。

$ n$ 次元数ベクトルとは、実数の $ n$ 個の列にほかならない。 それならば、実数を無限個並べた列、すなわち実数列

$\displaystyle (a_1, a_2,a_3,\dots, a_k,\dots)
$

(紙面の都合で横ベクトルで書いた。) もベクトルと考えられるのではないか。 あるいは、添字に正の整数だけを許すとかいうけち臭いことを言わずに、 もっと色々考えられるのではないか。

実はそのとおりで、それらのなす空間は無限次元ベクトル空間と呼ばれるもの になっている。

それらのベクトルを扱う際も、和と、スカラー倍のみを相手にする場合には 組織的、統一的に扱うことができる。 それが線形代数学である。言い換えると、ベクトル空間とは 和とスカラー倍の考えられるような集合のことであり、 線形代数学とは、そのような一般の線形空間を扱う学問である。

※レポート問題

(期限:次の講義の終了時まで。)

  1. % latex2html id marker 803
$\displaystyle \bold a=
\begin{pmatrix}
1 \\ 2 \\ 3...
...
\end{pmatrix},\quad \bold b=
\begin{pmatrix}
5 \\ 6 \\ 7 \\ 8
\end{pmatrix}$

    に対して、 $ \frac{1}{2}\left( \bold a + \bold b\right )$ を求めよ。

  2. $ \frac{1}{2}((1+ 2 x ++3 x^2+4 x^3) + (5+ 6 x +7 x~2 +8 x^3)))$ を求めよ。

  3. $ \frac{1}{2}\left(
(\sin(x)+ 2 e^x +3 \log(x) +4 )
+ (5\sin(x)+ 6 e^x +7 \log(x) +8)\right)$ を簡単にせよ。
  4. ある二日間の最低気温がそれぞれ次のようであったとする。

      Ts市 Tm 市 My市 Kc 市
    1日目 1 2 3 4
    2日目 5 6 7 8
    平均 ? ? ? ?

    このとき、一日目と二日目のそれぞれの市の最低気温の平均を求めなさい。 すなわち、上の表の? の部分を埋めなさい。

http://www.math.kochi-u.ac.jp/docky/kogi にこのプリント を提供する.



2012-11-16