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論理と集合要約 No.10

第10回目の主題 : \fbox{写像。特にその像と逆像。}

定義 10.1 (再)   実数 $ x$ に対して、$ x$ を超えないような整数のうち最大のものを $ \lfloor x \rfloor$ と書く(floor of $ x$ と読む。)。 例えば、

% latex2html id marker 1019
$\displaystyle \lfloor 3.14 \rfloor =3, \quad
\lfloor -3.14 \rfloor= -4, \quad
$

である。また、任意の整数 $ n$ に対して、 $ \lfloor n \rfloor = n$ である。

問題 10.1 (再)   $ X={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ , $ Y={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ とおく。 写像 $ f :X \ni x \to 2 x \in Y$ $ g :Y \ni x \to \lfloor x/2 \rfloor \in X$ にたいして、

  1. $ g \circ f={\operatorname{id}}_X$ であることを示しなさい。
  2. % latex2html id marker 1040
$ f \circ g \neq {\operatorname{id}}_Y$ であることを示しなさい。
  3. $ f$ , $ g$ はそれぞれ全射、単射、全単射だろうか。

上の例のように、 $ g\circ f={\operatorname{id}}$ を満たすとき、$ g$$ f$左逆写像で あるという。($ g$ からみれば $ f$$ g$右逆写像である。このとき、 問題9.2の結果により、 $ g$ が全射で $ f$ が単射であるのがわかることに注意しておこう。 )

問題 10.2   $ g_1: {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$

\begin{displaymath}
g_1(n)=
\begin{cases}
n/2 &\text{($n$ が偶数の時)} \\
0 &\text{($n$ が奇数の時)}
\end{cases}\end{displaymath}

と定義すれば、 問題 10.1$ f$ に対し $ g_1 \circ f={\operatorname{id}}_{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ が成り立つことを示しなさい。

問題 10.3   $ f_1: {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\to {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$

$\displaystyle f_1(n)= 2 n +1
$

と定義すれば、 問題 10.1$ g$ に対し $ g \circ f_1={\operatorname{id}}_{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ が成り立つことを示しなさい。

問題 10.4 (再)   $ X={\mathbb{C}}[t] $ (複素数係数の $ t$ を変数とする多項式の全体のなす集合), $ Y={\mathbb{C}}[t]$ とおく。 写像 $ f :X \ni p \to \int_0^t p dt \in Y$ $ g :Y \ni p \mapsto \frac{d}{d t} p \in X$ にたいして、

  1. $ g \circ f={\operatorname{id}}_X$ であることを示しなさい。
  2. % latex2html id marker 1105
$ f \circ g \neq {\operatorname{id}}_Y$ であることを示しなさい。
  3. $ f$ , $ g$ はそれぞれ全射、単射、全単射だろうか。

定義 10.2   写像 $ f: X\to Y$ が与えられているとき、
  1. $ X$ の部分集合 $ A$ に対して、その $ f$ による (順像とも言う) $ f(A)$

    $\displaystyle f(A)=\{ f(x) \vert x \in A\}
$

    で定義する。

  2. $ Y$ の部分集合 $ B$ に対して、その $ f$ による逆像 $ {f}^{-1}(B)$

    $\displaystyle {f}^{-1}(B)=\{ x \in X ; f(x)\in B\}
$

    により定義する。

逆写像と同じ記号 $ {f}^{-1}$ を使っているけれども、 集合の逆像は $ f$ の逆写像が存在しない場合においても定義される ということに 注意しておこう。

問題 10.5   $ f:$$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \ni x \mapsto x^2 \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、
  1. $ f(\{1,2\}) $ を求めよ。
  2. $ f(\{-3,3,5\})$ を求めよ。

問題 10.6   $ f:$$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \ni x \mapsto x^2 \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、
  1. $ {f}^{-1}([1,2]) $ を求めよ。
  2. $ {f}^{-1}(\{1\}) $ を求めよ。
  3. $ {f}^{-1}(\{2\}) $ を求めよ。
  4. $ {f}^{-1}(\{-1\}) $ を求めよ。


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2012-07-12