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線形代数学概論 A No.13要約

行列 $ A$ の分解 $ A=P F_{m,n}(r)Q$ は 「どのベクトルを活かすか」、「どのベクトルは潰すか」を 決めていると考えることができるのでした。 正則行列 $ P$ の逆行列は % latex2html id marker 800
$ (P\quad E)$ の行基本変形で求めることが できるのでした。

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\fbox{今日のテーマ}

連立一次方程式と基本変形(2)

両側基本変形を用いると、一次方程式の解法は大変見通しが良くなる。

$\displaystyle A \mathbf v = \mathbf b$ (あ)

において、$ A$ を両側基本変形し、

$\displaystyle PAQ=F(r)
$

を得たとする。 このとき、

$\displaystyle PAQ Q^{-1} \mathbf v = P \mathbf b
$

$\displaystyle \mathbf w =Q^{-1} \mathbf v
$

と書いてみると、 $ Q \mathbf w = \mathbf v
$ というふうに逆にもかけるから、これは可逆な変数変換であり、 連立方程式(あ) は

$\displaystyle F(r) \mathbf w = \mathbf b'$ (い)

を解くのと同等である。 但し、 $ \mathbf b'=P \mathbf b$ .

例 13.1  

% latex2html id marker 824
$\displaystyle A=
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 & 4 \\
...
...end{pmatrix}, \qquad
\mathbf b=
\begin{pmatrix}
b_1 \\ b_2 \\ b_3
\end{pmatrix}$

のときを考えよう。

% latex2html id marker 826
$\displaystyle P=\frac{1}{8}
\begin{pmatrix}
8 & 0 &...
... & -4 & 1 \\
0 & 0 & 2 & 0 \\
0 & 2 & 0 & -3 \\
0 & 0 & 0 & 2
\end{pmatrix}$

により、 $ PA Q= F_{3,4}(2) $ と表せる。

$\displaystyle Q^{-1}=
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 & 4 \\
0 & 0 & 1 & 3/2 \\
0 & 1 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 0 & 1
\end{pmatrix}$

$\displaystyle Q^{-1} \mathbf v= \mathbf w
$

と変数変換すれば、

$\displaystyle F_{3,4}(2)
\begin{pmatrix}
w_1 \\ w_2\\ w_3\\ w_4
\end{pmatrix} ...
...=
\begin{pmatrix}
b_1 \\
\frac{5 b_1-b_2}{8} \\
b_1 -2 b_2 +b_3
\end{pmatrix}$

をとけば良いことになる。それは易しい。

◎一般逆行列。

与えられた 行列 $ A \in M_{m,n}($$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ に対して、 $ B\in M_{n,m}($$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ で、

$\displaystyle ABA=A
$

を満たすようなものを $ A$一般逆行列という。

例 13.2   $ F_{m,n}(r) $ の一般逆行列の一つとして、 $ F_{n,m}(r)$ がある。

一般逆行列は一意ではない。 が、

命題 13.1   与えられた行列 $ A$ に対して、 $ A$ の一般逆行列が 必ず一つは存在する。

一般逆行列を用いて連立方程式を求めることもできる。

問題 13.1  

% latex2html id marker 871
$\displaystyle P=
\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\e...
...,
\quad
Q=
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 \\
4 & 5 & 6 \\
7 & 8 & 0
\end{pmatrix}$

とおく。 さらに、

$\displaystyle R=\frac{1}{9}
\begin{pmatrix}
-16 & 8 & -1 \\
14 & -7 & 2 \\
-1 & 2 & -1
\end{pmatrix}$

とおく。 $ A=P F_{2,3}(1) Q$ とおく。 与えられたベクトル $ \mathbf b \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ ^2$ に対して、 方程式 (※) $ A \mathbf v = \mathbf b$ を考えよう。つぎの各問に答えなさい。
  1. 行列 $ RQ$ を計算せよ。
  2. $ P,Q$ の逆行列をそれぞれ求めなさい。
  3. $ \mathbf b=
c_1
\begin{pmatrix}
1 \\
3
\end{pmatrix}+
c_2
\begin{pmatrix}
2 \\
4
\end{pmatrix}$ と書いた時、 方程式(※) が解を持つためには、$ c_1,c_2$ は どのような条件を満たせばよいか。

  4. $ \mathbf b, c_1,c_2$ が前問の条件を満たして 方程式(※)が解を持つとき、 その解をすべて求めなさい。


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2012-11-16