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代数学 IA No.6要約

\fbox{今日のテーマ} 《有限群の部分群(オイラー・ラグランジュの定理)》

命題 6.1   $ \mu_n({\mathbb{C}})$ の部分群 $ H$ の元の個数は必ず $ n$ の約数である。

状況を観察するために、次の例を考えよう。

例 6.2   $ G=\mu_{12}({\mathbb{C}})$ とその 部分群 $ H=\mu_4$ を考える。
  1. $ H$ を「ずらしたもの」 $ H$ , $ H\zeta$ , $ H\zeta^2$ が 綺麗に並んでいる。
  2. $ G$$ H$ を「ずらしたもの」$ H$ , $ H\zeta$ , $ H\zeta^2$ 3つの和集合として書ける。
  3. $ G$ の「ずらしたもの」($ G$ の元をかけて作ったもの)はこれらしかなく、 また、それらは互いに交わらない(か、完全に一致するかのどちらかである)。
  4. % latex2html id marker 824
$ H , \quad H\zeta, \quad H\zeta^2$ はどれも元の数が $ 4$ つである。
  5. $ \vert G\vert= \vert H\vert \times 3$ .

一般の群についても同じようなことが言える:

定理 6.3 (オイラー・ラグランジュ)   有限群 $ G$ の部分群 $ H$ が与えられたとする。このとき、
  1. $ G$$ H a$ の形の部分集合の互いに交わらない和集合である。

    % latex2html id marker 843
$\displaystyle G=H a_1 \coprod H a_2 \coprod \dots \coprod H a_t
\qquad (\exists a_1,a_2,\dots, a_t \in G)
$

  2. 各「クラス」 $ H a$ の元の数は $ H$ の元の数と等しい。
  3. 異なる「クラス」 $ H a$ の数(上の $ t$ のこと)を $ [G:H]$ と書くことにすると、

    $\displaystyle \vert G\vert=\vert H\vert [G:H]
$

    が成り立つ。

系 6.4   有限群 $ G$ の各元 $ g$ にたいして、
  1. $ g$ の位数 $ {\operatorname{ord}}(g)$ は有限である。
  2. $ g$ で生成される $ G$ の部分群 $ \langle g \rangle $ の(群としての)位数 は $ {\operatorname{ord}}(g)$ と等しい
  3. $ {\operatorname{ord}}(g)$$ \vert G\vert$ の約数である。(オイラーの定理)



2015-05-25