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今回は少しガロア理論の本筋からは外れる。 これまで、個々の例の多項式の既約性について証明なしに議論してきたが、 だんだん不自由になってきたのでここでまとめておくことにする。
代数についてよく学びたい人のための注:
今回の議論は 
 とその商体
 とその商体 
 に関してのべるが、
一般の UFD
 に関してのべるが、
一般の UFD  とその商体
 とその商体  に関しても同様なことが成り立つ。
 に関しても同様なことが成り立つ。
次の命題は多項式の既約性判定の際に整数係数と有理係数の差を うまく処理してくれる:
 上の多項式
 上の多項式 
![$ f(X) \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img6.png) が
 が 
 上で可約ならば、
 上で可約ならば、
 上でも可約である。
 上でも可約である。
 上の多項式
 上の多項式 
![$ f(X) \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img6.png) が原始的であるとは
 が原始的であるとは
 の係数のすべてを割るような整数が
 の係数のすべてを割るような整数が  しかないときにいう。
言い換えると、原始的多項式とは係数の gcd が
 しかないときにいう。
言い換えると、原始的多項式とは係数の gcd が  の多項式である。
 の多項式である。
![$ f,g\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img10.png) の積
 の積  はまた原始的である。
 はまた原始的である。
![$ h\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img12.png) が多項式
 が多項式 
![$ f,g\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img10.png) の積の時、
 の積の時、
 の定数項は
 の定数項は  の定数項と
 の定数項と  の定数項の積である。
 の定数項の積である。
 の最高次の係数は
 の最高次の係数は  の最高次の係数と
 の最高次の係数と  の最高次の係数との
積である。
 の最高次の係数との
積である。
![$ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img15.png) の多項式がもし可約ならばそれはモニックな因数を持つ。
 の多項式がもし可約ならばそれはモニックな因数を持つ。
 上の 3次もしくは2次の多項式
 上の 3次もしくは2次の多項式 ![$ f\in K[X]$](img17.png) について、
 について、
 が
 が  の中に根を持たなければ
 の中に根を持たなければ  は
 は  上既約である。
 上既約である。
 を係数にもつモニックな
 を係数にもつモニックな
 
が、ある素数  に対して、次の二つの性質をもつとする。
 に対して、次の二つの性質をもつとする。
 
 の定数項は
 の定数項は  で割り切れない。
 で割り切れない。
 は
 は 
 上既約である。
 上既約である。
次のこともよく用いる。
![$ f\in k[X]$](img25.png) と任意の定数
 と任意の定数  に対して、
 に対して、
 が既約
 が既約 
 
  が既約.
 が既約.
![$ f(X) \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img6.png) が与えられているとする。
   ある素数
 が与えられているとする。
   ある素数  に対して
 に対して  が
 が 
 係数の多項式として既約なら、
 
   係数の多項式として既約なら、 
 は
 は 

![$ [X]$](img30.png) の元として既約で
ある。
 の元として既約で
ある。
 は
 は 
 上既約であることを示しなさい。
(今回はもちろん
 上既約であることを示しなさい。
(今回はもちろん  が無理数であることを使ってはならない。)
 が無理数であることを使ってはならない。)
 は
 は 
 上既約であることを示しなさい。
 上既約であることを示しなさい。
 
 
 
 
