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代数学演習 I 問題 No.7

\fbox{素イデアル・極大イデアル編}

問題 7.1 (全部で1)   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/(565,355)$ における $ n\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ のクラスを $ \bar{n}$ と書くことにする。 このとき、
  1. $ \overline{ 565}=\bar{0}$ であることを示しなさい。
  2. $ \overline{ 355}=\bar{0}$ であることを示しなさい。
  3. $ \overline{5}=\bar{0} $ であることを示しなさい。

問題 7.2 (各1)   $ {\mathbb{C}}[X]/(X^2-49,X^2-15 X +56)$ における $ p\in {\mathbb{C}}[X]$ のクラスを $ \bar{p}$ と書くことにする。このとき、
  1. $ \overline{ X^2-49}=\bar{0}$ , かつ $ \overline{ X^2-15 X +56}=\bar{0}$ であることを示しなさい。
  2. $ \overline{X-7}=\bar{0} $ であることを示しなさい。
  3. $ \bar{X^5}$ をできるだけ簡単な形に書きなさい。
  4. 任意の $ p\in {\mathbb{C}}[X]$ に対して $ \overline {p(X)}=\overline{p(7)}$ が成り立つことを示しなさい。

問題 7.3 (各1)   $ {\mathbb{C}}[X,Y]/(X-5,Y-7)$ における $ p\in {\mathbb{C}}[X,Y]$ のクラスを $ \bar{p}$ と書くことにする。このとき、
  1. $ \overline{ X}=\overline{5}$ , かつ $ \overline{ Y}=\bar{7}$ であることを示しなさい。
  2. $ \overline{X^2+3 Y +7 XY}$ を簡単な形に直しなさい。
  3. 任意の $ p\in {\mathbb{C}}[X,Y]$ に対して $ \overline {p(X,Y)}=\overline{p(5,7)}$ が成り立つことを示しなさい。

定義 7.1   $ R$ を単位元を持つ可換環、$ I$ をそのイデアルとします。このとき、
  1. $ I$$ R$ の素イデアルであるというのは、 「 $ f,g \in A, fg\in I$ ならば、$ f$$ g$ の一方が $ I$ の元である」が成り立つときに言います。
  2. $ I$$ R$ の極大イデアルであると言うのは、$ I$ を部分集合として含む $ R$ のイデアルが $ R$$ I$ 自身以外には存在しないときに言います。

問題 7.4[*] では、「環」といえば単位元を持つ可換環を指すことにします。

問題 7.4   環 $ R$ のイデアル $ I$ が素イデアルであるための必要十分条件は、 $ R/I$ が整域であることなのを示しなさい。

問題 7.5   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ のイデアル $ n{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ が素イデアルになるのは、$ n=0$ 又は $ n$ が素数のときであることを示しなさい。

問題 7.6   環 $ R$ のイデアル $ I$$ R$ の要素 $ h$ が、 $ Rh+I=R$ を満たすならば、$ h$ の剰余類 $ \bar{h}$$ R/I$ の可逆元であることを示しなさい。

問題 7.7   環 $ R$ の極大イデアル $ I$ が与えられたとき、 $ R/I$ は体であることを、次の順序で示しなさい。
  1. $ R$ の任意の元 $ h$ に対して、$ Rh+I$$ I$ を部分集合として含むイデアルである。
  2. % latex2html id marker 1297
$ Rh+I=I\quad {\Leftrightarrow}\quad h\in I$ .
  3. $ R/I$ において、 % latex2html id marker 1301
$ \bar{h}\neq 0 $ ならば $ \bar{h}$$ R/I$ の可逆元である。

問題 7.8   極大イデアルは素イデアルであることを示しなさい。

問題 7.9  
  1. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ のイデアル $ n{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ , $ m{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ ($ n,m$ は正の整数)について、

    % latex2html id marker 1325
$\displaystyle n{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\supset m{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\quad {\Leftrightarrow}\quad \text{$m$ は $n$ の倍数である}
$

    を示しなさい。
  2. $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ の極大イデアルをすべて求めなさい。

問題 7.10   $ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$ のイデアル $ I=(X)$ は素イデアルであって、極大イデアルではないことを示しなさい。

問題 7.11   次の % latex2html id marker 1343
$ {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[\sqrt{2}]$ のイデアルは素イデアルかどうか答えなさい。
  1. $ I_1=(5)$
  2. $ I_2=(7)$

問題 7.12  
  1. $ {\mathbb{C}}[X]$ のイデアル $ (X^2-49,X^2-15 X +56)$ $ {\mathbb{C}}[X]$ の極大イデアル であることを示しなさい。
  2. $ {\mathbb{C}}[X,Y]$ のイデアル $ (X-5,Y-7)$ $ {\mathbb{C}}[X,Y]$ の極大イデアルで あることを示しなさい。

問題 7.13   環の間の準同型写像 $ f:R\to S$ が与えられたとします。この時 $ I$$ S$ の素イデアルなら、$ f^{-1}(I)$$ R$ の素イデアルであることを示しなさい。

問題 7.14   次の条件を満足する $ f,R,S,I$ を見つけなさい。
  1. $ f:R\to S$ は環の間の準同型写像。
  2. $ I$$ S$ の極大イデアル。
  3. $ f^{-1}(I)$$ R$ の極大イデアルでない。
(ヒント:0 は体の極大イデアルです。)

問題 7.15   $ R={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/6{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ 上の多項式環 $ R[X]$ の元 $ f,g$ で、次の2条件を同時に満足するものを作りなさい。
  1. $ \deg(f)=\deg(g)=2$ .
  2. $ \deg(fg)=3 (<\deg(f)+\deg(g))$ .

問題 7.16   $ R$ を環、$ I$ をそのイデアルとします。《$ R/I$ のイデアル》全体と《$ I$ を部分集合として含む $ R$ のイデアル》全体との間には一対一対応がつくことを次のようにして示しなさい。
  1. $ J$$ I$ を含む $ R$ のイデアルとするとき、

    $\displaystyle \bar{J}=\{\bar{x}; x\in J\}$   ($?$ は $?$ のクラスを表す。)

    $ R/I$ のイデアルである。
  2. $ K$$ R/J$ のイデアルとするとき、

    $\displaystyle \hat{K}=\{x\in R; \bar{x}\in K\}
$

    $ R$ のイデアルである。
  3. 上の二つの対応は互いに他の逆対応になっている。すなわち、

    % latex2html id marker 1447
$\displaystyle \hat{\bar{J}}=J,\quad \bar{\hat{K}}=K.
$


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2016-11-11