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代数学 IB No.15要約

\fbox{今日のテーマ}

命題 15.1   整域 $ R$ について、次の条件を考える。
(条件1).
$ R$ はネーター環である。
(条件2).
任意の $ a,b\in R $ に対して、ある $ d$ という $ R$ の 元が存在して、 $ (a,b)=(d)$ を満たす。
(条件3).
$ R$ の既約元はすべて素元である。
このとき、
  1. $ R$ がED であれば、(条件1) と(条件2) が成り立つ。
  2. $ R$ がPID であることは、((条件1) and (条件2)) と同値である。
  3. (条件 2) から (条件3)が従う。
  4. (条件1)and (条件3)から $ R$ が UFD であることが従う。

$ R$ の任意のイデアルが有限個の元で生成される 場合に言うのであった。

補題 15.1   ネータ環のイデアルの増大列も、必ずどこかで止まる。

定義 15.1   $ R_1,R_2$ は環であるとする。このとき、$ R_1,R_2$ の環としての直積 とは、デカルト積集合 $ R_1\times R_2$ の上に、 次のような演算を定義したものである。

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$\displaystyle (a,b) + (c,d)=(a+c,b+d), \quad (a,b)\times (c,d)= (ac,bd)
$

$ R_1$$ R_2$ の環としての直積を、普通 $ R_1\times R_2$ と書く。

補題 15.2   $ R_1,R_2$ は環であるとする。このとき、
  1. $ R_1\times R_2$ は環になる。
  2. $ R_1,R_2$ の単位元 がそれぞれ $ 1_{R_1},1_{R_2}$ とすると、 $ R_1\times R_2$ の単位元は $ (1_{R_1},1_{R_2})$ である。
  3. $ R_1,R_2$ がともに可換ならば、 $ R_1\times R_2$ も可換である。

命題 15.2   $ R$ の元 $ a,b$$ (a,b)=(1) $ を満たすとき、

$\displaystyle R/(a b)\ni [x]_{ab} \mapsto ([x]_a, [y]_b) \ni R/(a) \times R/(b)
$

なる写像は環の同型を与える。



2017-02-02