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微分積分学基礎 No.9要約

今日のテーマ:積分

積分にはいくつかのものがある。

  1. $ f$ の原始関数、すなわち微分して $ f$ に一致する関数を見つける。
  2. グラフの面積に当たる量、定積分 $ \int_a^b f(x) d x$ をもとめる。
  3. 定積分の積分区間を動かして $ \int_a^x f(t) d t$ をもとめる。(不定積分)

定理 9.1   $ (a,b)$ 上の関数 $ f$ に対して、その原始関数 $ F,G$ が与えられたとする。 このとき $ F$$ G$ の差は定数である。 言い換えると、 $ f$ の原始関数は $ F+C$ ($ C$ は定数) の形である。 ($ C$ のことを積分定数と呼ぶ。)

定義 9.2   一変数関数 $ f$ に対して、 $ f$ の原始関数のことを

$\displaystyle \int f (x) d x +C
$

(もしくは $ \int f dx +C$ ) とかく。

... のだが、教科書に従って、積分定数は省略して $ \int f(x) d x$ と書くことが多い。

微分の表を逆に読めば、積分の表が得られる。

$ f(x)$ $ f'(x) $
$ x^n$ $ n x^{n-1}$
$ e^x$ $ e^x$
$ \sin(x)$ $ \cos(x)$
$ \cos(x)$ $ -\sin(x)$
$ \log(x)$ $ \frac{1}{x}$
$ \operatorname{Sin}^{-1}(x)$ % latex2html id marker 958
$ \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} $
$ \operatorname{Tan}^{-1}(x)$ $ \frac{1}{1+x^2} $
        
$ f(x)$ $ \int f(x) d x$
$ x^n$ % latex2html id marker 986
$ \ (n\neq -1)$ $ \frac{x^{n+1}}{n+1} $
$ \frac{1}{x}$ $ \log(x)$
$ e^x$ $ e^x$
$ \sin(x)$ $ -\cos(x)$
$ \cos(x)$ $ \sin(x)$
% latex2html id marker 1006
$ \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} $ $ \operatorname{Sin}^{-1}(x)$
$ \frac{1}{1+x^2} $ $ \operatorname{Tan}^{-1}(x)$

定義 9.3 (リーマン積分)   $ [a,b]$ 上で定義された関数 $ f$ に対して、 $ [a,b]$ の分割 $ a=x_0<x_1<x_2<\dots <x_{n-1}<x_n=b$ と、 分割された各区間での点 $ a_k \in [x_{k-1},x_{k}] (k=1,2,\dots,n$ ) を とる。そのとき、 $ f$ のリーマン和を

$\displaystyle \sum_{k=1}^n f(a_k) (x_k-x_{k-1})
$

で定める。 分割を小さくすると、リーマン和が常に一定の値に近づくとき、 その値のことを $ \int_a^b f(x) d x$ と書き、$ f$$ [a,b]$ における 定積分と呼ぶ。

定理 9.4   $ f$$ [a,b]$ で定義される連続関数ならば、$ f$ の定積分は必ず存在する。

証明のアイディア: $ f$$ [a,b]$ で一様連続であることを $ [a,b]$ のコンパクト性を利用して示し、利用する。

定積分はリーマン積分よりもさらに柔軟な定義があり(ルベーグ積分)、 $ [a,b]$ 上の考える限りの有界関数は、ルベーグ積分可能と見てよいぐらいである。

定理 9.5   $ [a,b]$ 上の連続関数 $ f$ に対して、 $ F(x)=\int_a^x f(t) dt $$ f$ の原始関数を与える。


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2017-06-15