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代数学 IA No.4要約

\fbox{今日のテーマ} $ {\mathbb{C}}^\times$ の有限部分群》

始める前に、次のことは既知としておく。証明等は複素解析の講義を参照のこと。

  1. 複素数 $ z$ に対して、 $ \exp(z)=\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{k!}{z^k}$ と置くと、これは収束する。これを $ z$ のexponential とよぶ。
  2. $ r\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ なら、 $ \exp(r)=e^r$ (通常の指数関数。) このため一般の $ z\in {\mathbb{C}}$ に対しても、$ \exp(z)$ のことを $ e^z$ と表記することがある。
  3. $ \forall z,w \in {\mathbb{C}}$ に対して、 $ \exp(z)\exp(w)=\exp(z+w)$ .
  4. $ b\in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ に対して、 % latex2html id marker 980
$ \exp(b\sqrt{-1} )=\cos(b)+ \sqrt{-1} \sin(b)$ .

命題 4.1   正の整数 $ n$ を一つ固定し、 % latex2html id marker 989
$ \zeta_n=\exp(\frac{2 \pi \sqrt{-1}}{n})$ とおく。すると、
  1. $ \zeta_n$ の(乗法群 $ {\mathbb{C}}^\times$ の元としての)位数は $ n$ である。
  2. $ \zeta_n$ の生成する $ {\mathbb{C}}^\times$ の部分群は

    $\displaystyle \langle \zeta_n \rangle
= \{\zeta_n^k; k=0,1,2,\dots, n-1 \}
$

    である。この群を $ \mu_n({\mathbb{C}})$ と書く。
  3. $ \zeta_n^k=\zeta_n^l $ $ {\Leftrightarrow}$ $ k-l \in n{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ .

注意 4.2   幾何学的には、次のような意味がある。
  1. $ \mu_n({\mathbb{C}})$ の元を複素平面上にプロットするとちょうど正 $ n$ 角形の 頂点に並ぶ。
  2. $ \mu_n({\mathbb{C}})$ $ {\mathbb{C}}$ $ {\mathbb{C}}^\times$ の「回転」を表す群である。

一般にべき乗して $ 1$ と等しくなるような元を、「$ 1$ のべき根」とよぶ。 言い換えれば、$ 1$ のべき根とは、 $ \cup_{n=1}^\infty \mu_n({\mathbb{C}})$ の 元のことである。

定義 4.3   元の数が有限であるような群を、有限群と言う。 有限群 $ G$ の元の個数を、$ G$位数と言い、$ \vert G\vert$ とか $ {\operatorname{ord}}(G)$ で表す。

定義 4.4   位数 $ n$ の巡回群は、本質的にはひとつしかない。この群を $ C_n$ と書く。

$ C_n$ は群としては $ \mu_n({\mathbb{C}})$ と同じものであるが、 $ \mu_n({\mathbb{C}})$ $ {\mathbb{C}}$ の部分集合であるのに対して。$ C_n$ はそうだとは考えていない、 ただの抽象的な群であるというところが異なる。

$ C_n$ を書き表し方はいろいろあるのだが、ここでは、「生成元と関係式」 を書く次の表記を採用する。

$\displaystyle C_n=\langle a ; a^n=e \rangle.
$

群の元 $ x$ の位数とは、$ x^k=e$ を満たす正の整数 $ k$ のうち 最小のものであったことを思い出そう。元の位数と群の位数とには 明快な関係がある。詳しくは次回。

例題 4.5   位数 $ 12$ の巡回群 $ C_{12}=\langle a ; a^{12}=e\rangle $ の元をすべて書き、その位数を表にせよ。

答:

$ e$ $ a$ $ a^2$ $ a^3$ $ a^4$ $ a^5$ $ a^6$ $ a^7$ $ a^8$ $ a^9$ $ a^{10}$ $ a^{11}$          
位数 $ 1$ $ 12$ $ 6$ $ 4$ $ 3$ $ 12$ $ 2$ $ 12$ $ 3$ $ 4$ $ 6$ $ 12$          


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2017-05-08