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代数学 IA No.15要約

今日のテーマ: 共役

定義 15.1   群 $ G$ の元 $ a,b$$ G$ の中で共役であるとは、 ある $ g\in G$ が存在して、 $ g a g^{-1}=b$ が成り立つときに言う。

補題 15.2   群 $ G$ が与えられたとき、$ G$ 内で共役であるという関係は 同値関係である。

補題 15.3   $ G=\mathfrak{S}_n$ において、 $ \sigma\in G$ $ \tau \in G$ による共役を $ \tilde\sigma$ と書くと、 $ \tilde\sigma (\tau (a))=\tau(\sigma(a))$ ゆえに、 $ \tilde\sigma$$ \tau(a)$ $ \tau (\sigma(a))$ にうつす。 二行の表示を用いると、

$\displaystyle \sigma=
\begin{pmatrix}
1& 2& 3& 4& \dots &n\\
i_1& i_2& i_3& i_4& \dots &i_n
\end{pmatrix}$

のとき、

$\displaystyle \tilde\sigma=
\begin{pmatrix}
\tau(1)& \tau(2)& \tau(3)& \tau(4)&...
...)\\
\tau(i_1)& \tau(i_2)& \tau(i_3)& \tau(i_4)& \dots &\tau(i_n)
\end{pmatrix}$

である。つまり、 $ \tilde\sigma$$ \sigma $ にあらわれる文字 $ ?$ を ことごとく $ \tau(?)$ により置き換えたものである。

定義 15.4   群 $ G$ が与えられたとき、$ G$ 内で共役であるという関係で クラスわけした各クラスの元の個数を $ \{h_i\}_{i=1}^t$ と(順不同で)書いたとき、

$\displaystyle h_1+h_2+\dots+h_t=\vert G\vert
$

なる関係式がもちろん成り立つ。この等式を類等式と呼ぶ。

なお、$ h_i$ の順番はどうでも良いと書いたが、通常 1番目は $ G$ の単位元 $ e$ の クラスに当てるのが普通である。この場合は $ h_1=1$ になる。

つぎの命題の証明の考え方は、群の準同型定理に似たところがある。

命題 15.5   群 $ G$ の元 $ a$ に対して、その共役類を $ K(a)$ と書き、さらに $ a$ の中心化群 $ Z(a)$

$\displaystyle Z(a)=\{g \in G; g a =a g\}
$

で定義すると、$ Z(a)$$ G$ の部分群であって、$ K(a)$$ G/Z(a)$ との 間には一対一に対応がつく。とくに、$ G$ が有限なら、

$\displaystyle \char93 (K(a))= \char93 (G/Z(a))=\vert G\vert/\vert Z(a)\vert
$

という等式が成り立つ。

注意: $ Z(a)$ の計算においてはどの群で考えているかが重要な意味を持つ。 そこで、そのような区別が必要なときには $ Z(a)$ のことを $ Z_G(a)$ などと $ G$ を添字につけて表すことがある。$ K(a)$ についても同様に、$ K_G(a)$ などと 書く場合がある。



2017-07-24