任意の体に対してを含む代数的閉体が存在する。(2)

「任意の体に対してを含む代数的閉体が存在する。」 (無印だが、以下では便宜上「(1)」と呼ぶことにする) において、次の「主張2」に言及した。
$\begin{itembox}[l]{主張2} 体 $K$ とその拡大体 $L$ が、次の性質�... ...ath}とおけば、$M$ は $K$ を含む代数閉体である。 \end{itembox}$

今回は、分離性の知識を用いて、次のこと(主張2s)を証明する。 (議論をいくらか簡潔にするため、全体は大きな代数的閉体 $\Omega$ に埋め込まれていると考えることにする。 $\Omega$ としては(1)ですでに証明したの代数的閉包(議論としてはそれで十分なことを確認できるが、それで物足りなければの代数的閉包)を用いてもよい。)

$\begin{itembox}[l]{主張2s} $K$\ とその拡大体 $L$\ が、主張2 の性�... ...� 含む。つまり、$L_s$\ は $K$\ の分離閉包である。 \end{itembox}$

の標数が 0 なら、分離性の仮定は常に満足されるから、そのときには主張 2 も正しいことがわかる。

[主張 2s の証明]

上分離代数的な元 $\alpha$ をとる。 $\alpha$ の最小多項式をと書き、の根を $\alpha_1,\dots,\alpha_k$ と置くと、 $\{\alpha_1,\dots, \alpha_k\}$ は $\alpha$ の上の共役の全体と等しく、 $M=K(\alpha_1,\dots ,\alpha_k)$ はの有限個の分離的な元による拡大であるから、の単純拡大である (No.6, 系6.9)。すなわち、ある $\theta$ が存在して、 $M=K(\theta).$