代数学III要約 No.8

今日のテーマ: \fbox{ガロア拡大とガロア群}

定義 8.1   $ K$ 上代数的な元 $ \alpha,\beta$共役であるとは、 それらの $ K$ 上の最小多項式が等しいときにいう。$ \alpha$ と 共役な元を $ \alpha$共役という。

補題 8.2   $ K$ の代数拡大体 $ L=K(\alpha_1,\dots, \alpha_t)$ が与えられたとする。 $ \alpha_1,\alpha_2,\dots, \alpha_t$ のすべての $ K$ 上の共役が $ L$ 内に存在するならば(すなわち、それらの最小多項式がすべて $ L$ 上では 一次式の積に分解されるならば)、 $ L$$ K$ の正規拡大である。

8.3   $ K$ の有限次代数拡大体 $ L=K(\alpha_1,\alpha_2,\dots, \alpha_t)$$ K$ 上ガロア拡大であるための必要十分条件は、生成元 $ \alpha_1,\dots,\alpha_t$ が すべて $ K$ 上 分離的であり、なおかつそれらの $ K$ 上の共役がすべて $ L$ 内に存在することである。

定義 8.4   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ に対して、 $ \operatorname{Hom}_K^{{\operatorname{algebra}}}(L,L)$ は写像の合成について群をなす。この群を $ L$$ K$ 上のガロア群とよび、

$\displaystyle \operatorname{Gal}(L/K)
$

で書き表す。

体の有限次ガロア拡大が与えられると、ガロア群がひとつ定まる。 この群を詳しく調べることにより、体の拡大の様子が手に取るようにわかる。 これがガロア理論の真骨頂である。

ガロア群を計算するときには、

  1. ガロア群の元になりそうなものをすべて挙げる。
  2. それらがガロア群の元になるか、それらで足りているかを元の数の 勘定で確認する。
のステップで行うことが多い。その意味で次の命題は基本的である。

命題 8.5   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ に対して、

$\displaystyle \vert G\vert=[L:K]
$

8.6   $ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 1024
$ (\sqrt{11})$ $ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$ 上のガロア拡大であって、 そのガロア群の元は % latex2html id marker 1028
$ \sqrt{11}$ の行き先 (% latex2html id marker 1030
$ \sqrt{11}$ or % latex2html id marker 1032
$ -\sqrt{11}$) で定まる。 その結果、

$\displaystyle \operatorname{Gal}($$\displaystyle \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 1036
$\displaystyle (\sqrt{11}))/$$\displaystyle \mbox{${\mathbb{Q}}$}$$\displaystyle ) \cong C_2
$   ($2$次の巡回群)

8.7   $ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 1046
$ (\sqrt{2},\sqrt{3})$ $ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$ 上のガロア拡大であって、 そのガロア群の元は % latex2html id marker 1050
$ \sqrt{2}$% latex2html id marker 1052
$ \sqrt{3}$ の行き先 (それぞれ % latex2html id marker 1054
$ \sqrt{2}$ or % latex2html id marker 1056
$ -\sqrt{2}$% latex2html id marker 1058
$ \sqrt{3}$ or % latex2html id marker 1060
$ -\sqrt{3}$) で定まる。 その結果、

$\displaystyle \operatorname{Gal}($$\displaystyle \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 1064
$\displaystyle (\sqrt{2},\sqrt{3}))/$$\displaystyle \mbox{${\mathbb{Q}}$}$$\displaystyle ) \cong C_2\times C_2
$   (2つの $2$次の巡回群の直積。)

問題 8.1   $ \operatorname{Gal}({\mathbb{C}}/$$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ を求めよ。

定義 8.8   体 $ K$ とその拡大体 $ L$ が与えられたとき、$ L$ の部分体 $ M$ で、 $ K$ を部分体として含むもののことを $ L$$ K$中間体と呼ぶ。

補題 8.9   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ が与えられているとする。このとき、 $ K$$ L$ の中間体 $ M$ に対し、
  1. $ L$$ M$ の有限次ガロア拡大でもある。
  2. ガロア群 $ H=\operatorname{Gal}(L/M)$ は ガロア群 $ G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 とみなすことができる。