行列の演算と実数の演算。
行列の和、差、積は実数を扱うのと同様の扱いで良いのだが、
があったとして、
と
とは、(たとえ両者が存在したとしても、)
一般には等しくない。
としても
のことがある。
◎ 特別な行列
すべての成分が 0 の行列を零行列とかゼロ行列といい、
サイズが
のゼロ行列を
で表す。
行と列の数が等しい行列を正方行列という。
正方行列の
で、
であるような成分
を
の対角成分という。対角成分がすべて
で、残りの成分が 0 であるような
正方行列のことを、単位行列と言い、サイズが
の単位行列を
とか、
と表記する。
◎ クロネッカーのデルタ。
クロネッカーのデルタと呼ばれる記号
を
の行列の全体


は足し算に関して可換群をなす。
すなわち、




.


にたいしても、
と書かれる特別な行列が
存在して、
をみたす。


が任意の


と


と


にたいしてなりたつ。
(要するに、3つの積が定義されるときには
いつでも成り立つ。)


にたいして、
,
である。
積は一般には可換ではなく、0 でないものを2つ掛けて 0 になることもある。
● http://www.math.kochi-u.ac.jp/docky/kogi にこのプリント
を提供する.