を単位元を持つ環とし、
をその部分集合とする。
の部分環
が
で環として生成されるとは、
次の三つの条件が満たされる時にいう。
は
を部分集合として含む。
は
の部分環である。
は (1),(2)を満たす最小のものである。
と、その部分集合
が与えられていたとする。このとき、
の部分環
で、
で環として生成されるものがただ一つ存在する。
(
のことを
で生成される
の部分環といい、
と書く。
注意:
「部分環」の定義により、
は(
が何であっても)
常に
の単位元
を元としてもつ。
しかし、単位元の存在を意識しておくために、以下では
始めから
には
の単位元
が入ったものだけを考えることにする。
の部分集合
と、それによって生成される
の部分環
の例。
.




補題2.1の証明の途中で、次の補題が必要になるので、ここに掲げておく。
は環であるとし、
は
の部分環の族であったとする。このとき、共通部分
もまた
の部分環になる。実際には、生成される部分環には次のパターンのものがよく使われる。
を環、
をその部分環とする。
の元
が与えられたとき、
の部分集合
で生成される部分環を、
と書き、
上
で生成された環
とよぶ。この記法によれば、上の例の (4),(5) はそれぞれ次のように書ける。

![% latex2html id marker 1291
$\displaystyle [\sqrt{2}]=$](img21.png)




![% latex2html id marker 1297
$\displaystyle [\sqrt[3]{2}] =$](img24.png)



![% latex2html id marker 1301
$\displaystyle \sqrt[3]{2}+$](img25.png)

このように、
が実際にはどのような元を
もつのか決定することも基本的で、重要である。それは通常
次の手順で行う。
の候補
を探す。
は
を部分集合として含むことを証明する。
は
の部分集合であることを証明する。
の元は
と、
から構成し得ることを
証明する。言い換えると、
を部分集合として含む
の部分環は、必ず
を含むことを証明する。
は環であるとする。このとき、
を変数とする
係数の一変数多項式の全体
を変数とする)
上の一変数多項式環という。
を変数とする
上の一変数多項式環は、
と、
とで生成される。
上の一変数多項式環のことを
と書く。)注意
本講義 の範囲では他に
![${\mathbb{C}}[X],$](img31.png)

等が重要になる。
(
,
,
は全て体である。すなわち積は可換であり、
0 以外の各元は逆元を持つ。)
同様にして、2変数多項式環
,3変数多項式環
等が定義される。
を変数とする
係数の多項式環が
定義される。
多項式
は書くのが面倒なので、多重指数を用いると便利である。
という略記法を用いると、
は
と簡略化して書ける。
定義により、
環
は
環
上の
を変数とする
一変数多項式環と同じものとみなせる。