今日のテーマ: 対称行列の標準形
今回は複素数の性質、特に複素共役の性質を用いる。
行列
に対して、
で
のそれぞれの成分の複素共役をとった行列を指す。
行列
に対して
(サイズ的に和や積が定義される限り)
とおく。定義により、
ある
が
存在して、
.
その複素共役をとることにより、
を得る。
を2通りに計算してみよう。一方では
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ところが
であるから、
すなわち
は実数である。
から
への
一次写像と同一視する。
をとる。
命題
となる
が存在する。




と、

の正規直交基底をとってきて並べたてできた行列を
は
次の対称行列)という具合に書ける。
に対して帰納法を用いればよい。
参考:
.
エルミート内積を持つ複素ベクトル空間を 複素計量ベクトル空間 と呼ぶ。
複素計量ベクトル空間でも、シュミットの直交化法に代表されるような技法・定理が 同様にある。