線形代数学II No.3要約

今日のテーマ: 直交基底。正規直交基底

定義 3.1   内積を持つベクトル空間を 計量ベクトル空間 と呼ぶのであった。 計量ベクトル空間 $V$$\pmb 0$ でない元の集合 $\{ \mathbbm v_i\}_{i=1}^n$
  1. 直交系であるとは、すべての % latex2html id marker 750
$ i \neq j$ にたいし、 $\mathbbm v_i \cdot \mathbbm v_j=0$ を満たすときにいう。
  2. 正規直交系であるとは、 直交系であって、すべての $i$ に対し $\vert\vert\mathbbm v_i \vert\vert=1$ のときにいう。

補題 3.2   $\mathbbm a_1,\dots \mathbbm a_k$ が一次独立のとき、次のような 直交系 $\mathbbm b_1,\dots \mathbbm b_k$ が一意に存在する。

$\displaystyle (\mathbbm a_1,\dots \mathbbm a_k)
=
(\mathbbm b_1,\dots \mathbbm ...
...
\begin{pmatrix}
1 & & & * \\
& 1 \\
& & \ddots \\
0 & & & 1
\end{pmatrix}$

定理 3.3   $\mathbbm a_1,\dots \mathbbm a_k$ が一次独立のとき、次のような 正規直交系 $\mathbbm u_1,\dots \mathbbm u_k$ が一意に存在する。

$\displaystyle (\mathbbm a_1,\dots \mathbbm a_k)
=
(\mathbbm u_1,\dots \mathbbm ...
...n{pmatrix}
c_1 & & & * \\
& c_2 \\
& & \ddots \\
0 & & & c_k
\end{pmatrix}$

% latex2html id marker 780
$ (c_1c_2\dots c_k \neq 0.)$

(この $\mathbbm u_1,\dots \mathbbm u_k$ を得るための操作を シュミットの直交化法という。)

定理 3.4   有限次元計量ベクトル空間 $V$ では
  1. 正規直交基底が存在する。
  2. 任意の正規直交系は正規直交基底に延長できる。
  3. 任意の直交系は直交基底に延長できる。