やってる事

作用素環では大きく分けて, von Neumann環とC^*環の2種類があるが, 僕の専門 はvon Neumann環の方. Von Neumann環でも大きく分けてII型を研究する人と III型を研究する人に分かれるらしいが, 僕は両方とも興味あり.

主に研究している事はJonesの始めた部分因子環論. 部分因子環論とは要は作用素環の中に別の作用素環が 入っている時にその入り方の様子を研究する, という事. この分野は Jones多項式の発見以降数理物理やトポロジーとの関連でいろいろ発展している.

それで僕は部分因子環への群作用を研究している. 上で書いたような他の分野の つながり, というより部分因子環自体の性質の研究, といった物だと思うが, 群 作用の不変量をいろいろ考え, いい条件の基で分類をする, という事を研究して いる最中である. この方面ではすでにLoi, Popa, Winlow, Kawahigashiらによっ ていろいろな結果が出されているが, まだ完全分類には至っていない.

最近ではJonesの特性不変量やSutherland-Takesakiのmodular invariantの類似物を考えると, ある程度いい条件の下で離散従順群の作用が完全に分類できる事が分かった. 例えばJonesの作ったprincipal graph A_{4n-3}の部分因子環の 離散従順群の作用はこれで完全に分類できる.

群作用以外では, Longo-Rehren構成法とPopaのsymmetric enveloping algebraの関係 なんかも調べてみた. Longo-Rehren subfactor/symmetric enveloping algebra が何かしら群作用の問題に役立たないかかんがえて, symmetric enveloping algebraへの部分因子環の自己同型の拡張, といった事も考えたが, 今の所群作用の分類にに直接は役立つ兆候はなさそう.

この前(辛己睦月)RIMSで "III_0 subfactorのnon-strongly free automorphismについて" というタイトルで講演した. 内容は谷口シンポジウムでの九大の幸崎先生がやっていた話の続きで, non-strongly free automorphismの形を決定する, という話でIII_0型subfactorの場合が残されていたのだが, これをやはり谷口シンポジウムでの京大の泉先生の話にあるmodular endomorphismを使って特徴付ける, という話である.