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指数関数と三角関数との関係

よく見てみると、前節までに、次のような微分方程式が二種類出てきました。

\begin{displaymath}\left\{
\begin{aligned}
f'(x)&=\alpha f(x) \\
f(0)&=1\\
\end{aligned}\right .
\end{displaymath}

$\alpha$ が実数なら、 $f(x)=e^{\alpha x}$ が唯一の解であり、 $\alpha=i$ ならば、 $f(x)=\cos(x)+i\sin(x)$ が唯一の解でした。

でも、こんな場合分けは余り嬉しくない。$\alpha$ がどんな数であっても、 方程式の解は同様な式で表せた方が便利だ。もし、

\begin{displaymath}e^{i x}=\cos(x)+i\sin(x)
\end{displaymath}

と決めることができたら、便利だとは思いませんか? でも、本編でも見たように、便利そうに見えるからといって、 直ちにそう決めてしまうと、失敗することがありますから、 他のいろいろな状況も併せて考える必要があります。 結果からいうと、こう決めるのは実に有効で、現代数学に欠くべからざる公式 の一つになっているのです。



Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12