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三角関数と指数関数の関係を巾級数表示を通じて調べる

巾級数による展開は関数を識別するための「名前」としても 優れている。 実際、個々の関数に $\cos,\sin,\exp$ 等々の名前をつけても、 その関数の性質はちっとも明らかにならないのにたいし、 関数を巾級数で与えてみると、その巾級数の個々の係数は 関数のもつ性質をかなり雄弁に語ってくれることが多い。

その典型的なものが、この小節で述べる指数関数と対数関数の関係である。 この関係式は、もちろんいろんな形で説明できるが、 巾級数による記述は簡潔で、分かりやすい。

\begin{displaymath}\cos(z)=\sum_{k=0}^\infty (-1)^k\frac{1}{(2k)!}z^{2k}
\end{displaymath}


\begin{displaymath}\sin(z)=\sum_{k=0}^\infty (-1)^k\frac{1}{(2k-1)!}z^{2k-1}
\end{displaymath}

と、$e^z$ の巾級数展開

\begin{displaymath}e^z=\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{k!}z^k
\end{displaymath}

とから、次のことを見てとることができる。

\begin{displaymath}e^{iz}=\cos(z)+i\sin(z)
\end{displaymath}

あるいは、書き換えると、

\begin{displaymath}e^{z}=\cos(z/i)+i\sin(z/i).
\end{displaymath}

とくに、上の式で $z$ が実数の時だけを考えて、$z$ の変わりに $\theta$ と書くと、

\begin{displaymath}e^{i\theta}=\cos(\theta)+i\sin(\theta)
\end{displaymath}

という関係式を得る。 この一見奇妙な関係式は、実にいろいろな応用を持った、 現代数学に決して欠かせない式である。

この式の一つの応用として、 複素数の指数関数を、(高校生卒業程度の知識を持つ諸君にとっては) 見慣れた実関数のみを用いて書き直すことができる。

   \begin{displaymath}
e^{a+bi}(=e^ae^{bi})=e^a(\cos(b)+i\sin(b))
\end{displaymath}



Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12