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画用紙びりびり

この節の冒頭で述べた話は、グラフのほうを本来書くべき場所(黒板)から はみ出して書いた話でした。 現代数学というのはかなり厳密にできていて、関数の定義域、値域は 明確に決まっているのですが、このように「はみ出してみる」ことも 発想法としては大事なような気がします。

先に述べた、$\log$ の不定性の問題を「解決」するために、 定義域を画用紙のごとく「びりびり」と破って作り変えてしまう荒技に でた人がいました。(実際には、《「お絵描き帖」を破って妙なところを セロテープで止めた》と言った方が感じがでているかも知れません。)

その妙技を堪能するためには、まず前節で見て来た指数関数と対数関数 を、面と面との対応としてとらえ直すことから始めないといけません。 既に、読者の皆様は指数関数と対数関数とは複素数の間の関数に拡張 されていることを知っているはずです。 複素数はガウス平面の点と一対一に対応することを知っていますから、 指数関数と対数関数が、面の間の対応ととらえられても不思議はないはずです。

ただし、グラフのおかれる空間は四次元空間になります。 次の節では、まず四次元空間の見方を少しおさらいし、 次の次の節で指数関数のグラフを見ることにしましょう。



Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12