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: 気温ベクトル空間 : ベクトル空間の定義 : 一次独立(線型独立)性

一次従属性

$\displaystyle e_{\text{牛乳}}=
\begin{pmatrix}
0 \\
10 \\
0 \\
1
\end{pmatri...
...matrix},
e_{\text{粉ミルク}}=
\begin{pmatrix}
0 \\
0 \\
0 \\
1
\end{pmatrix}$

のあいだには、

$\displaystyle e_{\text{牛乳}}=10 e_{\text{水}}+e_{\text{粉ミルク}}
$

という関係がある。これは、もちろん、牛乳を 1だけ増やすことが 水10mg と粉ミルク1mg増やすことが同等であることを 言っていて、このような関係があると、 「材料の数」は実質的に2つに減ってしまう。

このことを、 $ e_{\text{牛乳}}$$ e_2,e_4$ に一次従属であると表現するわけである。

もっと一般的に言うと、ベクトル $ v_1$ がほかの2つのベクトル $ v_2,v_3$ に 一次従属であるとは、

$\displaystyle v_1 = c_2 v_2 +c_3 v_3
$

となる実数 $ c_2,c_3$ があると定義される。

しかしながら、上のように述べるよりも、3つのベクトル $ v_1,v_2,v_3$ が 平等に現れる形で述べるほうが便利なことも多い。 そこで、次のような定義にたどりつく。

定義 2.1   三つのベクトル $ v_1,v_2,v_3$ が一次従属であるとは、

$\displaystyle c_1 v_1 +c_2 v_2 +c_3 v_3=0
$

を満たすような実数の三つ組 $ (c_1,c_2,c_3)$ で、$ (0,0,0)$ と異なるものが存在する ときにいう。

上の定義で、 $ c_1$ が 0 でなければ、$ v_1$$ v_2$$ v_3$ の それぞれの定数倍の和(こういうのを線型結合という)で表現できるし、 $ c_1$ が 0 でも $ c_2$,$ c_3$ のどちらか一方が 0 ではないから、 $ v_2$$ v_3$ のいずれかが他の二つのベクトルの線型結合で 書けるわけだ。

ベクトルの数が増えても原理は同じである。念のために定義を書いておくと、 次のようになる。

定義 2.2   $ k$ 個のベクトル $ v_1,v_2,\dots,v_k$ が一次従属であるとは、

$\displaystyle c_1 v_1 +c_2 v_2 +c_3 v_3+\dots c_k v_k=0
$

をみたすような実数の $ k$ 個の組 $ (c_1,c_2,\dots,c_k)$ で、 $ (0,0,0,\dots,0)$ と異なるものが存在する ときにいう。

$ k$ 個のベクトルが一次従属ではない時、これらは一次独立であるという。



平成15年1月30日