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代数学III 要約 No.3
今日のテーマ
のとき、

の元は

と書くことができ、それらの和、差、積、商の公式は
という関係式だけから書き下すことができるのであった。
もっと一般に、代数方程式を満たす元を体に「付け加える」ことができる。
(補題 3.1, 3.2)それには、多項式環をうまく用いる。
定義 3.1
体

の元を係数に持つような

を変数とする一変数多項式の
全体を
![$ K[X]$](img11.png)
と書き、

上の(

を変数とする)一変数多項式環と呼ぶ。
ついでに環とイデアルの定義を思い出しておこう。詳しくは代数 Iの講義を
復習すること。
補題 3.1
体

上の多項式
![$ f(X)\in K[X]$](img20.png)
に対して、
![$ I=f(X)K[X]$](img21.png)
は
![$ K[X]$](img11.png)
のイデアルである。
は環であって、

の
![$ K[X]$](img11.png)
における剰余類(クラス)を

と書くと、

は

を満足する。
さらに、

が

上既約
(それ以上

上の多項式の積に分解できない)ならば、この環

は実は体である。
定義 3.3
体

とその部分体

が与えられているとする。

に対して、

が満足する

上の方程式、すなわち
をみたすもの
のうち次数が最小のものを、

の

上の最小多項式と呼ぶ。
以下では、とくに断らない限り最小多項式と言えばモニックのものを指すことにする。
問題 3.1

の4次式

![$ [X]$](img37.png)
で、

にたいして

を
満たすようなものを見つけなさい。
問題 3.2
前問の

は

上既約であることを示しなさい。
(ノーヒントなのでかなり難しい問題である。)
平成16年4月26日