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: ultra filter による極限 : "Non commutative algebraic space : "Non commutative algebraic space

Introduction

非可換な環を、(可換環がスキーム論によってあたかも 目に見えるかのように扱えるように) 目に見えるように扱いたい。

一言で非可換環と言ってもいろいろな種類がある。 標準的で重要に思えて、なおかつ対極にあると思われるのは

  1. 非可換自由多項式
  2. 微分のなす環のような、単純環
だろう。前者はイデアルが山のようにあって、大きい環であり、 そのかわりに universality で可換環論における多項式環のような 基本的な役割を果たす。重要な環である。

しかし今回は後者を取り上げたい。このような環も前者の剰余環として いずれは出てくるわけだし、応用も広いからである。

単純環においては $ \C $ や他の小さい環への環準同型がない (不確定性原理)。 位相をいれて近似をするのを許せば、これは「近似的に準同型」などの 道具が使えそうだが、代数的に攻めるにはどうするだろうか。 代数体の整数環 $ \mathfrak{O}$ の、 ある元 $ f$ による局所化 $ R=\mathfrak{O}_f$ の上で定義されるような 非可換代数にたいして、

  1. 一旦正標数に話を持っていく。
  2. ultra filter で標数 0 の世界に戻ってくる。
というアプローチで迫るというやりかたはかなり有力であると思われる。 ここではこれを紹介したい。

このような流れから言えば、(1)から話しはじめるのが筋であるが、 原稿を書きはじめると(1)の部分(とくに、例)が長くなってしまったので、 まず(2)からはじめる。(2節)

そのあと、一般論を展開し(3節)、 最後に例をあげて一般論が具体的にはどういう意味をもつかについて説明する。


平成17年5月17日